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ヴィーナスの誕生
(Naissance de Venus) 1863年
130×225cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)
19世紀フランス・アカデミーで最も成功した画家のひとりアレクサンドル・カバネルの代表作『ヴィーナスの誕生』。画家らしい非常に甘美的で理想美的な官能性を示し、かつ
ロココ美術的表現への回帰をも感じさせる本作は、
ルネサンス期・
フィレンツェ派の巨匠
ボッティチェリも描いた≪ヴィーナスの誕生≫を主題にカバネルが制作し1863年のサロンに出典された作品で、その美しさから皇帝ナポレオン3世が購入した同時代を代表するアカデミックな絵画である。本作が現在においても注目を集めるのは、皮肉にも本作が出典された1863年のサロンに落選した、その後、隆盛を極める
印象派の先駆的画家
エドゥアール・マネの問題作『
草上の昼食』や、次のサロン(1865年)で同画家が発表した『
オランピア』としばしば比較される為である。本作は典型的なアカデミズム絵画であり、
印象派の思想や表現とは対極に位置付けられ、
マネの友人で印象派絵画の良き理解者あった当時の文学者ゾラは、本作を辛辣に批評している。なおメトロポリタン美術館に本作のレプリカが所蔵されている。
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