Description of a work (作品の解説)
2007/08/12掲載
Work figure (作品図)
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キアサージ号とアラバマ号の海戦


(Combat du "Kearsarge" et de l'"Alabama") 1864年
134×127cm | 油彩・画布 | フィラデルフィア美術館

エドゥアール・マネが手がけた歴史画の代表的な作品のひとつ『キアサージ号とアラバマ号の海戦』。1872年のサロン入選作品である本作に描かれるのは、アメリカで始まった南北戦争会戦から四年後の1864年、フランス北西部、イギリス海峡に突き出すコタンタン半島先端に位置する港湾都市シェルブールの沖で、北部連合の軽巡洋艦キアサージ号が南部連盟の巡洋艦アラバマ号を撃沈する海戦の場面で、一部からは目撃者だったとの証言もあるが、現在ではおそらくマネは本場面を実際に目撃せず、ブーローニュ港に停泊していた時に予め描いていたキアサージ号のデッサンと当時の新聞に掲載された写真を用いて制作されたと考えられている。本作はマネがサロンへの入選を目指して(目的として)描かれた歴史画であるが(サロンの審査委員会は風俗的な画題より歴史画などに興味を示していた)、うまく描写的誇張を示しながらも、真実性に溢れた表現は当時の著名な小説家兼批評家ジュール・バルベイ・ドールヴィリから「単純で力強い自然と風景の感覚によって表現された、このキアサージ号とアラバマ号の海戦の絵画に私は感情の高揚を覚えた。あのマネがこのような作品も描けるとは。構想、表現、どれも素晴らしい。」と賞賛された。正方形よりやや縦長の画面に描かれるシェルブール沖の海上を高まる波で荒々しく描き出すことによって、砲撃され撃沈される巡洋艦アラバマ号の迫力をより一層効果的に見せている。また実際に本海戦を見るため、多数の民衆らが船で海上へ押し寄せていたこともマネは逃さす本作に描写している。なお本作は後にルノワールの有力なパトロンにもなった若き著名な出版事業者ジョルジュ・シャルパンティエが所有していたものの、1888年に画商デュラン=リュエルを介し、米国の美術収集家ジョン・G・ジョンソンに売却された。


【全体図】
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砲撃され撃沈される巡洋艦アラバマ号。1872年のサロン入選作品である本作に描かれるのは、1864年、フランス北西部、イギリス海峡に突き出すコタンタン半島先端に位置する港湾都市シェルブールの沖で、北部連合の軽巡洋艦キアサージ号が南部連盟の巡洋艦アラバマ号を撃沈する海戦の場面である。



【砲撃され撃沈される巡洋艦アラバマ号】
高まる波で荒々しく描き出されるシェルブール沖の海上。本作はマネがサロンへの入選を目指して(目的として)描かれた歴史画であるが(サロンの審査委員会は風俗的な画題より歴史画などに興味を示していた)、うまく描写的誇張を示しながらも、真実性に溢れた表現は批評家たちからも賞賛された。



【荒々しく描き出される海上】
本海戦を見るため、海上へ押し寄せる多数。正方形よりやや縦長の画面に描かれるシェルブール沖の海上を高まる波で荒々しく描き出すことによって、砲撃され撃沈される巡洋艦アラバマ号の迫力をより一層効果的に見せている。



【海戦を見るため海上へ押し寄せる多数】

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