Description of a work (作品の解説)
2007/02/23掲載
Work figure (作品図)
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笛吹く少年

 (Le fifre) 1866年
161×97cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派における先導的存在の画家エドゥアール・マネ屈指の代表作のひとつ『笛吹く少年』。本作は、ボナパルト朝フランス帝国(フランス第二帝政)衛兵に所属する鼓笛隊の横笛奏者をモデルとして描かれた人物画であるが、画家の様式的発展や、受けた影響を考察する際に欠かせない作品で、マネが賞賛していた17世紀スペイン自然主義的絵画史における最大の巨匠ディエゴ・ベラスケスが手がけた人物画『道化師パブロ・デ・バリャドリード』や、日本の版画の研究・影響が如実に示されている。マネはベラスケスの『道化師パブロ・デ・バリャドリード』から対象(本作では横笛を吹くの少年)と空間のみで構成される単純・簡素化された人物画の表現を、日本の版画からは、対象を正面から捉え描く平面的なアプローチ方法や、強く太い輪郭線を用いて対象と空間を隔離する(アカデミックな絵画様式には見られない)斬新な表現手法、非常に鮮烈な印象を観る者に与える大胆な色彩などを本作で取り入れている。特に少年が穿くズボン側部の一本の縦縞模様は、そのまま少年の輪郭も形成しており、本作と対峙する者を錯覚させる。また黒、白、赤、黄、茶、そして少年の肌色と非常に抑えられた本作の色数も、日本の版画から取り入れた重要な特徴であり、本作の注目すべき点のひとつである。本作はもう一点の作品と共に1866年のサロンに出品され落選したが、画家の良き理解者であり友人であった文学者エミール・ゾラは、簡素で単純ながら、装飾的で極めて空間的調和のとれた作品であると賞賛している。


【全体図】
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横笛を吹く鼓笛隊の横笛奏者。本作にはマネが賞賛していた17世紀スペイン自然主義的絵画史における最大の巨匠ディエゴ・ベラスケスが手がけた人物画『道化師パブロ・デ・バリャドリード』や、日本の版画の研究・影響が如実に示されている。



【横笛を吹く鼓笛隊の横笛奏者】
均整的な笛吹く少年と背後の空間。『道化師パブロ・デ・バリャドリード』から対象と空間のみで構成される単純・簡素化された人物画の表現を、日本の版画からは、平面的なアプローチや、強く太い輪郭線を用いて対象と空間を隔離する表現手法、鮮烈な印象を与える大胆な色彩などを本作で取り入れている。



【均整的な笛吹く少年と背後の空間】
錯覚的な少年のズボンの太い輪郭線。少年が穿くズボン側部の一本の縦縞模様は、そのまま少年の輪郭も形成しており、本作と対峙する者を錯覚させるほか、非常に抑えられた本作の色数も、日本の版画から取り入れた重要な特徴であり、本作の注目すべき点のひとつである。



【錯覚的な少年のズボンの太い輪郭線】

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