Description of a work (作品の解説)
2009/02/20掲載
Work figure (作品図)
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赤い頭巾、モネ夫人の肖像(窓に立つカミーユ・モネ)


(Camille Monet a la fenêtre) 1873年
99×79.8cm | 油彩・画布 | クリーヴランド美術館

印象派最大の巨匠のひとりクロード・モネが手がけた意味深な肖像画作品『赤い頭巾、モネ夫人の肖像(窓に立つカミーユ・モネ)』。印象派の名称の由来ともなったモネ随一の代表作『印象 -日の出-』を手がけた翌年(1873年)に制作された本作は、1870年に結婚した画家の1番目の妻カミーユ・ドンシューをモデルに、窓辺に立つ女性の姿を描いた作品である。本作に描かれる妻カミーユは厚手のコートと傘を差しながら雪の降りしきる寒々しい屋外に立ち、ふと後ろを振り返るような仕草を見せている。薄く透けるレース地のカーテンこそ下方へ緩やかに向かうように開かれているものの、カミーユの手前に描かれる大きな窓は閉められており、屋内と屋外の明確な空間的区別が施されている。モネが生涯手放さなかった作品のひとつとしても知られている本作で、特に観る者の眼を惹きつけるのは屋内からの視点で捉えられるカミーユが身に着ける赤い頭巾と外套である。全体的にやや暗い色調や光彩で表現される本作において、カミーユの頭巾と外套に用いられた赤色は自然と観る者の視線を引き寄せることに成功しており、その計算された視線誘導は見事の一言である。さらに視線がカミーユのやや憂いを感じさせる表情へとつながるように絶妙に配置されている点も注目に値する。また緑味を帯びた室内の壁や降り続く雪の白色と、頭巾と外套の赤色の色彩的・彩度的対比や、四角体で構成される堅牢な構図展開も本作の大きな見所である。


【全体図】
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やや後ろを振り返る仕草を見せる画家の妻カミーユ。印象派の名称の由来ともなったモネ随一の代表作『印象 -日の出-』を手がけた翌年(1873年)に制作された本作は、1870年に結婚した画家の1番目の妻カミーユ・ドンシューをモデルに、窓辺に立つ女性の姿を描いた作品である。



【やや後ろを振り返るカミーユ】
雪が降り積もる寒々しい屋外。本作ではカミーユの頭巾と外套に用いられた赤色は自然と観る者の視線を引き寄せるように視線誘導が施されており、さらに視線がカミーユのやや憂いを感じさせる表情へとつながるように絶妙に配置されている点も注目に値する。



【雪が降り積もる寒々しい屋外】
全体的にやや暗い色調や光彩で表現される屋内。薄く透けるレース地のカーテンこそ下方へ緩やかに向かうように開かれているものの、カミーユの手前に描かれる大きな窓は閉められており、屋内と屋外の明確な空間的区別が施されている。



【暗い色調や光彩で表現される屋内】

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