2007/02/26掲載
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印象 -日の出-(Impression, soleil levant) 1872年48×63cm | 油彩・画布 | マルモッタン美術館(パリ) 関連:ウィリアム・ターナー作 『ノラム城、日の出』
本作の中で一際印象的な太陽。本作は画家が10代の頃に住み風景画家ウジェーヌ・ブーダンから自然光(外光)の美しさを学んだ地であるノルマンディ地方のル・アヴールの港町の写真家ナダールのスタジオで開かれた1874年に開かれた第一回印象派展で画家が出典した作品である。
【本作の中で一際印象的な太陽】
水面に反射する陽の光の移ろい。当初『日の出』のみの名称で出品されていたが、名称が短すぎるとの指摘を受けて、画家自らが前部に≪印象≫と付け加えた本作に描かれる風景は画家が住んでいたル・アヴール港である。
【水面に反射する陽の光の移ろい】
深く影のかかる船の漕ぎ手。当時の批評家ルイ・ルロワはル・シャリヴァリ誌に「印象?たしかに私もそう感じる。しかしこの絵には印象しかない。まだ描きかけの海景画(壁紙)の方がマシだ。」と本作を嘲笑する記事を寄稿し掲載されたが、この記事によって印象派という名称が生まれた。
【深く影のかかる船の漕ぎ手】
大気の中に溶け込む船舶。本作の構成要素の形状や質感の正確性・再現性は失っているものの、大気の揺らぎや、刻々と変化する海面とそこに反射する陽の光の移ろい、陽光による自然界での微妙な色彩の変化など感覚的な表現は見事である。
【大気の中に溶け込む船舶】
絵具本来の質感を生かした筆触分割技法。観る者が本風景の印象として受ける独特の感覚は、筆触分割でなければ表現できなかったものであり、この新たな表現手法こそアカデミー的な伝統主義とは決定的に異なるモネのアプローチ方法であった。
【絵具本来の質感を生かした筆触分割】 |