Description of a work (作品の解説)
2008/04/09掲載
Work figure (作品図)
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ノラム城、日の出

 (Norham Castle, Sunrise) 1835-40年頃
78×122cm | 油彩・画布 | テート・ギャラリー(ロンドン)

イギリス・ロマン主義の大画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの類稀な傑作『ノラム城、日の出』。本作は北イングランドのトゥイード河畔近くにある≪ノラム城≫を描いた作品で、画家は1797年に初めて同地へ訪れて以来、度々本画題を描いている。本作はその中でも最も後年に描かれた作品で、未完の作とされているが、その出来栄えは白眉である。登る朝陽によって逆光となるノラム城は朝靄に隠れ青味がかった陰影しか映らないものの、拡散する陽の光の幻想的な描写は画家が晩年期に辿り着いた表現の極地である。またその右斜め上には朝陽の黄色味がおぼろげに射し込み、その光は一頭の牛が配される画面下部の水面へ広がるように反射している。本作は色彩表現においても赤味(茶色味)、青味、黄色味が自然と溶け合うように描写されており、この調和的な色彩の一体感は、画家が高い興味を示していた光を波長順に分解したスペクトル的な理論に基づいている。なお印象派の巨匠クロード・モネが普仏戦争勃発のために英国へ避難した際、本作を見て強い感銘と影響を受け、印象派の名称の由来ともなった代表作『印象 -日の出-』を制作したことが知られている。


【全体図】
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おぼろげな印象の日の出の光。本作は北イングランドのトゥイード河畔近くにある≪ノラム城≫を描いた作品で、画家は1797年に初めて同地へ訪れて以来、度々本画題を描いている。



【おぼろげな印象の日の出の光】
朝靄に隠れる青味がかったノラム城。登る朝陽によって逆光となるノラム城は朝靄に隠れ青味がかった陰影しか映らないものの、拡散する陽の光の幻想的な描写は画家が晩年期に辿り着いた表現の極地である。



【朝靄に隠れる青味がかったノラム城】
画面下部に配される一頭の牛。本作は色彩表現においても赤味、青味、黄色味が自然と溶け合うように描写されており、この調和的な色彩の一体感は、画家が高い興味を示していた光を波長順に分解したスペクトル的な理論に基づいている。



【画面下部に配される一頭の牛】

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