2007/09/28掲載
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かささぎ(La Pie) 1869年89×130cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)
木戸に止まる黒い羽のかささぎ。1868年暮れから妻カミール・息子ジャンと共に滞在したノルマンディー海岸のエルタトで制作された本作は、一面を雪に覆われた田舎の冬景色を描いた作品で、かささぎの黒い羽は、白色や中間色が支配する本作の中で絶妙なアクセントとして画面を引き締めている。
【木戸に止まる黒い羽のかささぎ】
雪の複雑で繊細な色彩表現。白色を多用する雪の風景は陽光と影の関係性やそれらが織り成す効果を探求するのに適しており、力強い大ぶりな筆触によって描写される青を基調とした雪の複雑で繊細な色彩表現など、本作にはモネの野心的な取り組みが顕著に示されているのである。
【雪の複雑で繊細な色彩表現】
木々が広げる枝の曲線的な描写。簡素ながら絵画的奥行きの深い画面構成や、画面右側に配される木々が広げる枝の曲線的な描写も本作の大きな見所で、本作は後のラ・グルヌイエールに通じる、重要な印象主義作品として位置付けられている。
【木々が広げる枝の曲線的な描写】 |