Description of a work (作品の解説)
2008/05/26掲載
Work figure (作品図)
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日本風太鼓橋(日本の橋)

 (La port japonais) 1918-24年
89×100cm | 油彩・画布 | マルモッタン美術館(パリ)

印象主義の偉大なる画家クロード・モネ最晩年期の代表作のひとつ『日本風太鼓橋(日本の橋)』。本作はパリ西方約80km郊外のジヴェルニーに構えた自宅兼アトリエで造園した庭の池に架けられた≪日本風の太鼓橋(橋が太鼓の胴のように半円形に反った形状をしている為にそう呼称される)≫を画題に制作された作品のひとつである。晩年の画家は手術により白内障により通常ならば絵画を制作するのが困難になるほど視力が著しく低下ていたものの、この頃の画家は衰える眼で連作的巨大装飾画『睡蓮』や本作を始めとした、自身の画業の集大成となる作品を数多く制作している。本作では画面中央に緑色で二本の湾曲した線がおぼろげに描かれており、その形状から、この二本の緑色の線が池に架けられた日本風太鼓橋であるということをうかがい知ることができる。視力が低下する以前に描かれた同画題の作品『睡蓮の池、バラ色の調和(太鼓橋)』と比較してみると、もはや太鼓橋としての形を僅かに感じられるほど形象は抽象化され、あたかもこの風景を夢裡で見ているような非現実感が漂っている。また画面下部では池の水面に反射する木々や浮かぶ水草(睡蓮)の形状を不鮮明ながら感じることができるが、遠景のモネの庭の木々はもはや形すら失われ、色彩の洪水と化している。日本風太鼓橋など緑色が主体として画面の色彩が構成されている本作ではあるが、それ以外にも緑色と隣り合い、視覚上で渾然一体となる赤色や桃色、黄緑色、黄色、青色など多様な色彩が用いられており、本作の抽象性をより強調する効果を発揮している。なおモネは同時期に本作以外にも本画題≪日本風太鼓橋(日本の橋)≫の作品を手がけており、それらの作品は本作同様マルモッタン美術館(1918年制作)や、ミネアポリス美術館(1922年制作)に所蔵されている。

関連:オルセー美術館 『睡蓮の池、バラ色の調和(太鼓橋)』
関連:マルモッタン美術館所蔵 『日本の橋』
関連:ミネアポリス美術館所蔵 『日本の橋』


【全体図】
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モネの自宅兼アトリエの池に架けられた日本風太鼓橋。本作はパリ西方約80km郊外のジヴェルニーに構えた自宅兼アトリエで造園した庭の池に架けられた≪日本風の太鼓橋(橋が太鼓の胴のように半円形に反った形状をしている為にそう呼称される)≫を画題に制作された作品のひとつである。



【自宅の池に架けられた日本風太鼓橋】
本作の抽象性をより強調する多様な色彩。日本風太鼓橋など緑色が主体として画面の色彩が構成されている本作ではあるが、それ以外にも緑色と隣り合い、視覚上で渾然一体となる赤色や桃色、黄緑色、黄色、青色など多様な色彩が用いられており、本作の抽象性をより強調する効果を発揮している。



【抽象性をより強調する多様な色彩】
夢裡で見ているような非現実感が漂う画面。視力が低下する以前に描かれた同画題の作品『睡蓮の池、バラ色の調和(太鼓橋)』と比較してみると、もはや太鼓橋としての形を僅かに感じられるほど形象は抽象化され、あたかもこの風景を夢裡で見ているような非現実感が漂っている。



【夢裡で見ているような非現実感】

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