Description of a work (作品の解説)
2008/08/21掲載
Work figure (作品図)
■ 

プールヴィルの断崖の上の散歩


(La Promenade sur la falaise, Pourville) 1882年
66.5×82.3cm | 油彩・画布 | シカゴ美術研究所

偉大なる印象派の巨匠のひとりクロード・モネ1880年代の代表的作例のひとつ『プールヴィルの断崖の上の散歩』。本作は全長8km程の美しい砂浜と断崖で名高いフランスの海辺の避暑地≪プールヴィル≫の東北端にあるアモンの崖の風景を描いた作品である。モネにとって2度目のプールヴィル滞在となる1882年6月から10月までの期間(1度目は同年の2月から4月)に制作された本作には、おそらくは画家の再婚した妻アリス・オシュデとその娘をモデルとした人物が二人、プールヴィルの崖の上に立つ姿が描かれており、奥の人物は赤い日傘を差している。この日傘を差す人物というモチーフは最初の妻カミーユ・モネ(旧姓カミーユ・ドンシュー)をモデルとした有名な作品『散歩、日傘をさす女性』で示されているよう、画家にとって非常に重要な画題でもあり、本作ではそこに画家の心情なども感じることができる。また本作では崖の地形が作り出すドラマチックな風景の描写そのものにも特筆すべき点は多い。画面中央と右端に描かれる崖の先端の向こうには広大なプールヴィルの海が広がっており、本作には岸壁の圧迫感(又は危機感)と海の開放感とが絶妙に混在している。さらに右端の崖にかかる水平線の上に描かれる清涼感に溢れる蒼々とした空がそれらをより効果的に強調している。また描写手法に注意を向けてみても、風に揺らめく瞬間を映したかのような草々の強く上に跳ねる筆触や、白波の立つ水面の揺らめきの印象を感じさせる山型の筆触など、本作にはこの頃の画家の表現様式的探求が随所に示されている。


【全体図】
拡大表示
おそらくは画家の再婚した妻アリス・オシュデとその娘をモデルとしたアモンの崖に立つ二人の女性。本作は全長8km程の美しい砂浜と断崖で名高いフランスの海辺の避暑地≪プールヴィル≫の東北端にあるアモンの崖の風景を描いた作品である。



【アモンの崖に立つ二人の女性】
独特な筆触による草々の表現。日傘を差す人物というモチーフは最初の妻カミーユ・モネ(旧姓カミーユ・ドンシュー)をモデルとした有名な作品『散歩、日傘をさす女性』で示されているよう、画家にとって非常に重要な画題でもあり、本作ではそこに画家の心情なども感じることができる。



【独特な筆触による草々の表現】
白波の立つ水面の揺らめき。画面中央と右端に描かれる崖の先端の向こうには広大なプールヴィルの海が広がっており、本作には岸壁の圧迫感(又は危機感)と海の開放感とが絶妙に混在している。



【白波の立つ水面の揺らめき】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ