Description of a work (作品の解説)
2007/09/14掲載
Work figure (作品図)
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モリゾ夫人とその娘ポンティヨン夫人(読書)

1869-70年
(Portrait de Mmo Morisot et de sa fille Mmo Pontillon)
101×81.8cm | 油彩・画布 | National Gallery (Washington)

印象派随一の女流画家ベルト・モリゾの代表作『モリゾ夫人とその娘ポンティヨン夫人(読書)』。1870年のサロン(官展)のために制作された本作に描かれるのは、椅子に腰掛け読書する画家の母親(モリゾ夫人)と、それを空虚な眼差しで見つめるベルト・モリゾの姉エドマ(ポンティヨン夫人)の姿で、画家の母親が本を読む姿から別名『読書』とも呼称されている。姉エドマは本作が制作される少し前に海軍将校アドルフ・ポンティヨンと結婚しており、本作のモデルを務めた時には第一子を身篭っていた(本作は妊娠の為に実家へと帰ってきた姉エドマと画家の母親を描いた作品)。共に画家を目指していたモリゾと姉エドマにとって姉の結婚は非常に大きな出来事であり、離れ離れになり一緒に作品を制作できなくなったことは両者に多大な精神的喪失感を与えることになった。本作に示される姉エドマの憂いを帯びたやや寂しげで物思い耽るような表情はそれに由来してる。このモリゾ独特の女性の控えめでありながら不安感を募らせる繊細な表現は、師エドゥアール・マネの描く女性像とは決定的に異なっており、この頃のモリゾの作品へ最も顕著に示される独自性のひとつである。また本作はモリゾがサロンへ出品前にマネへ作品を見せた時、マネに多数の箇所を加筆されてしまい、モリゾは姉エドマと交わしていた手紙の中で「彼(マネ)は筆をとり手を加え、夕刻には最高に素敵なカリカチュア(戯画)ができました〜この絵がサロンへ入選するくらいならば、川へ身を投げたマシ」とサロンへの出品の取り止めの意向を記している(しかし最後にはサロン出品を承諾し入選した)。その為、本作にはこの頃手がけられたベルト・モリゾの作品の中でも、特にマネとの表現手法的な共通点を見出すことができる。


【全体図】
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本を読む画家の母親。1870年のサロン(官展)のために制作された本作に描かれるのは、椅子に腰掛け読書する画家の母親(モリゾ夫人)と、それを空虚な眼差しで見つめるベルト・モリゾの姉エドマ(ポンティヨン夫人)の姿で、画家の母親が本を読む姿から別名『読書』とも呼称されている。



【本を読む画家の母親】
姉エドマの憂いを帯びたやや寂しげで物思い耽るような表情。このモリゾ独特の女性の控えめでありながら不安感を募らせる繊細な表現は、師エドゥアール・マネの描く女性像とは決定的に異なっており、この頃のモリゾの作品へ最も顕著に示される独自性のひとつである。



【やや寂しげで物思い耽るような表情】
左手薬指にはめられる指輪。本作はモリゾがサロンへ出品前にマネへ作品を見せた時、マネに多数の箇所を加筆されてしまい、一時的ではあったがモリゾは「この絵がサロンへ入選するくらいならば、川へ身を投げたマシ」と本作のサロンへの出品の取り止めの意向を示した。



【左手薬指にはめられる指輪】

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