2007/07/13掲載
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ロリアンの小さな港(Vue du petit port de Lorient) 1869年43.5×73cm | 油彩・画布 | National Gallery (Washington)
ロリアンの港に日傘を差しながら腰掛け、ひとりたたずむ姉エドマ。10年以上、共に本格的な画業の道を志し精神的にも深いつながりを持っていたモリゾと姉エドマにとって、姉エドマの結婚は劇的な環境の変化であったことは想像に難くなく、描かれる姉エドマの姿は、どこか空虚で心が沈んでいるかのようである。
【ロリアンの港でひとりたたずむ姉エドマ】
大胆な筆触によって表情豊かに表現された姉エドマが腰掛ける港の石塀。明瞭な陽光の柔らかな表現や、水面やそこに浮かぶ船舶、空や雲、腰掛ける石塀、遠景の建物などの風景描写は大胆な筆触によって表情豊かに表現されている。
【大胆な筆触によって表現された石堀】
対岸にそびえるロリアンの建築物。本作のような人物に表される画家独特の繊細な心理描写や雰囲気の表現はベルト・モリゾ作品の最も見るべき点のひとつであり、本作は初期作品の中でも特に秀逸の出来栄えを示している。
【対岸にそびえるロリアンの建築物】 |