Description of a work (作品の解説)
2007/11/09掲載
Work figure (作品図)
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ニースの港

(Vue du port de Nissa) 1882年
59×43cm | 油彩・画布 | マルモッタン美術館(パリ)

印象派の女流画家ベルト・モリゾの代表的な風景画作品のひとつ『ニースの港』。本作は画家が娘ジュリーの病気療養として滞在(1881-1882年)したフランスの南東部に位置する都市で、温暖な気候でも知られる≪ニース≫の港を描いた作品である。娘ジュリーが言葉に残しているよう、船(ボート)の上から港の方を見た視点(その為、波の影響により画面が僅かに右へ傾いたと考察されている)で描かたことが知られている本作は、画面の2/3が海面で占められており、如何に画家が船の浮かぶニースの海面の描写、表現に興味を惹かれ制作されたのかが示されている(それは画面左上へささやかに配される空の描写にも表れている)。特にモリゾ独特の荒々しく自由闊達な筆触による波の表現や、水面に映り込むニースの街並みや風景の抽象的表現は印象派の画家の中でも非常に前衛的であり、かつ類稀な独自性をも兼ね備えている。また画面上部1/3に描かれる港と街並みの風景の中でも、港へ停泊する複数の連なる船による水平性の強調と勇壮性、南フランスの雰囲気を顕著に感じさせる白壁と褐色の屋根の家々の表現は特筆に値するものである。なお画家は1881年から1882年4月までのニース滞在でこの港を画題とした作品を本作以外にも十数点制作している。

関連:ヴァルラフ=リヒャルツ美術館所蔵 『ニースの港』


【全体図】
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荒々しく自由闊達な筆触による波の表現。この独特の波の表現や、水面に映り込むニースの街並みや風景の抽象的表現は印象派の画家の中でも非常に前衛的であり、かつ類稀な独自性をも兼ね備えている。



【荒々しく闊達な筆触による波の表現】
港へ停泊する複数の連なる船。本作は画家が娘ジュリーの病気療養として滞在(1881-1882年)したフランスの南東部に位置する都市で、温暖な気候でも知られる≪ニース≫の港を描いた作品で、船の上から港の方を見た視点で制作された。



【港へ停泊する複数の連なる船】
南フランスの雰囲気を顕著に感じさせる家々。画面上部1/3に描かれる、港へ停泊する複数の連なる船による水平性の強調と勇壮性、南フランスの雰囲気を顕著に感じさせる白壁と褐色の屋根の家々の表現は特筆に値する。



【南仏の雰囲気を顕著に感じさせる家々】

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