Description of a work (作品の解説)
2007/10/23掲載
Work figure (作品図)
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蝶々捕り

 (La chassse aux papillons) 1874年
47×56cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派の女流画家ベルト・モリゾの代表的作品のひとつ『蝶々捕り』。1874年、前年に続き姉エドマの嫁ぎ先であるパリ近郊モンクールに赴き制作された本作は、姉エドマやその娘らブランシュ、ジャンヌをモデルに生茂る林の中での≪蝶々捕り≫の情景を描いた作品で、前年、同じくモンクールで制作された『ゆりかご』からの精神的落ち着き(成長)や穏健さを感じさせる。画面中央で網を手に持ち立つ姉エドマは、観る者と対峙するかのように真正面を向き、その傍らでは娘のブランシュ(母同様立ち姿の少女)とジャンヌ(背を向けて屈む少女)が遊んでいる。闊達に動く筆触による木々の描写や色数を抑えた色彩表現にバルビゾン派を代表する画家ジャン=バティスト・カミーユ・コローの影響を感じさせるものの、本作の穏やかな夏のひと時の情景の中に描かれる、人物の物静かで寂然的な表情や佇まいにベルト・モリゾ特有の個性が顕著に示されているほか、姉エドマとその家族への深い愛情の念や複雑な心境も見出すことができる。またやや平面的ながら色彩の微妙な変化による空間の構成や登場人物など各構成要素の配置に、ひとりの画家としての高い技量と豊かな才能が感じられる。


【全体図】
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観る者と対峙するかのように真正面を向く画家の姉エドマ。前年に続き姉エドマの嫁ぎ先であるパリ近郊モンクールに赴き制作された本作は、姉エドマやその娘ブランシュ、ジャンヌをモデルに生茂る林の中での蝶々捕りの情景を描いた作品である。



【真正面を向く画家の姉エドマ】
背を向けて屈む姉エドマの娘ジャンヌ。画面中央で網を手に持ち立つ姉エドマは、観る者と対峙するかのように真正面を向き、その傍らでは娘のブランシュ(母同様立ち姿の少女)とジャンヌ(背を向けて屈む少女)が遊んでいる。



【背を向けて屈む姉エドマの娘ジャンヌ】
闊達に動く筆触による木々の描写。本作の人物の物静かで寂然的な表情や佇まいにベルト・モリゾ特有の個性が顕著に示されているほか、姉エドマとその家族への深い愛情の念や複雑な心境も見出すことができる。



【闊達に動く筆触による木々の描写】

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