Description of a work (作品の解説)
2007/10/04掲載
Work figure (作品図)
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自画像

 (Portrait de Mme Morisot) 1885年
61×50cm | 油彩・画布 | マルモッタン美術館(パリ)

印象派の女流画家ベルト・モリゾの重要な作品のひとつ『自画像』。本作は心身ともに充実していた1885年に手がけられた自画像作品で、ベルト・モリゾ44歳の姿である。本作で画家は左半身を前にやや斜めに構え、顔とそこに描かれる瞳は真正面を向いている。また胸には薄青色の花飾りが控えめに添えられているほか、右手には画家を示すパレットと絵の具が素早い筆触によって、ほとんど形体を省略しながら描かれている。本作で最も特徴的なのは、18世紀頃に描かれた女流画家たちの自画像に見られた、己を着飾り、画家としての姿を象徴的に描くのではなく、自身をひとりの女性画家として捉え、一心にカンバスへ向かう姿を真摯な眼差しで実直に表現している点にある。荒々しさすら感じさせる本作の力強く躍動的な筆捌きは、本来ならばベルト・モリゾが構えるスタティック(静的)な姿態を、生命的かつ動的に見せることに成功している。また明確な感情の表れは認められないものの、穏やかでありながら真面目で強い意志を感じさせるモリゾの表情は、画面に心地よい緊張感を生み出しているほか、カンバスに向けられる視線を超え、本作と対峙する者が視線で画家と会話するかのような感覚さえ与えている。これらのように本作には女性、母、女としての自身の姿のみではなく、画家としての挑戦的で決意的なモリゾの心情が示されている。


【全体図】
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穏やかでありながら真面目で強い意志を感じさせるモリゾの表情。本作は心身ともに充実していた1885年に手がけられた自画像作品で、ベルト・モリゾ44歳の姿である。本作で画家は左半身を前にやや斜めに構え、顔は真正面を向いている。



【強い意志を感じさせるモリゾの表情】
胸元へ控えめに添えられた薄青色の花飾り。本作で最も特徴的なのは、18世紀頃に描かれた女流画家たちの自画像に見られた、己を着飾り、画家としての姿を象徴的に描くのではなく、自身をひとりの女性画家として捉え、一心にカンバスへ向かう姿を真摯な眼差しで実直に表現している点にある。



【控えめに添えられた薄青色の花飾り】
ほとんど形体を省略して表現されるパレットと絵の具。荒々しさすら感じさせる本作の力強く躍動的な筆捌きは、本来ならばベルト・モリゾが構えるスタティック(静的)な姿態を、生命的かつ動的に見せることに成功している。



【形体を省略して表現される画材道具】

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