Description of a work (作品の解説)
2009/06/30掲載
Work figure (作品図)
■ 

 (Chrysanthèmes) 1882年
54.7×66.1cm | 油彩・画布 | シカゴ美術研究所

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワールを代表する静物画作品のひとつ『菊』。本作はルノワールが1882年に手がけた≪菊≫を画題とした3点の静物画作品の中の1点で、おそらくは同年の暑にイタリア(又はアルジェリア)から帰国した後、程なく制作されたと推測されている。画面中央から上部へは活き活きと花弁を開かせる菊の束が数十本配されており、画面の中央から下部へは菊の束が入れられる銅色の花瓶と、青色の模様の入ったテーブルクロスが掛けられる円卓が配されている。やや紫がかった白色と橙色が差し込んだ黄色と2色の花を咲かせる菊の豊潤で繊細な色彩は、青々とした緑の葉と見事な色彩的対比を示しており、観る者を強く惹きつける。さらに菊の華々しく鮮やかな色彩と対照的な、銅色の花瓶は画面を引き締めるだけではなく、花(菊)の色彩の美しさを惹き立てる効果を発揮している。そして清潔な青色と白色が用いられるテーブルクロスの色彩と対照を為しているのが、赤系統の色彩を用いた背景である。元々色彩に強い興味と類稀な才能を有していたルノワールは、1880年代初頭、自身の作風(そして印象主義的表現)に限界を感じており、模索の日々が続いていたことが知られているが、本作にはルノワール独特の迷いを感じさせない確固たる自信に基づいた個性的な色彩はもちろん、闊達で奔放な筆触による力強く自由的な描写など、画家としての己の姿を取り戻したかのような印象すら受け取ることができる。


【全体図】
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満開に咲く菊の花びら。本作はルノワールが1882年に手がけた≪菊≫を画題とした3点の静物画作品の中の1点で、おそらくは同年の暑にイタリア(又はアルジェリア)から帰国した後、程なく制作されたと推測されている。



【満開に咲く菊の花びら】
画面を引き締める銅色の花瓶。やや紫がかった白色と橙色が差し込んだ黄色と2色の花を咲かせる菊の豊潤で繊細な色彩は、青々とした緑の葉と見事な色彩的対比を示しており、さらに菊の華々しく鮮やかな色彩と対照的な、銅色の花瓶は画面を引き締めるだけではなく、花(菊)の色彩の美しさを惹き立てる効果を発揮している。



【画面を引き締める銅色の花瓶】
清潔な印象を与えるテーブルクロス。本作にはルノワール独特の迷いを感じさせない確固たる自信に基づいた個性的な色彩はもちろん、闊達で奔放な筆触による力強く自由的な描写など、画家としての己の姿を取り戻したかのような印象すら受け取ることができる。



【清潔な印象を与えるテーブルクロス】

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