2008/03/25掲載
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足を拭く浴女(Baigneuse s'essuyant la jambe) 1910年油彩・画布 | 84×65cm | サンパウロ美術館 関連:バーンズ・コレクション所蔵 『浴後』
足を拭く女性の一点を見つめる視線。画面全体を使い大々的に描かれる本作の足を拭く裸婦は、赤味を帯びる透き通った白い女性の肌や、そこへうっすらと落ちる微妙な陰影、足を拭く白布、幻想的にすら感じられる背景の緑色や黄色など、色彩そのものが持つ力との相乗的な効果によって、車椅子生活直前に制作されたとは思えないほど生き生きとした健康美に溢れている。
【足を拭く女性の一点を見つめる視線】
赤味を帯びた肌色と白布の明瞭なコントラスト。本作でルノワールは喜びや愛情に満ちている裸婦の姿を描くでもなく、悲しみや苦悩に暮れている裸婦の姿を描くのでもなく、ただ女性(裸婦)の純粋な(内包的な)生命力と肉体的美しさを表現することに注力している。
【肌色と白布の明瞭なコントラスト】 幻想的にすら感じられる背景の緑色や黄色。本作の裸婦の圧倒的な肉体的質感と量感の描写は、ルノワールが生涯描き続けた女性美の極致を示すものであり、観る者が内面に抱く女性像(裸婦像)の心象や印象に(時として反面的にすら)訴えかけてくる。
【幻想的にすら感じられる背景色】 |