2009/06/17掲載
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雪景色(Paysage de neige) 1875年頃51×66cm | 油彩・画布 | オランジュリー美術館(パリ)
微妙な陽光の変化による雪の色彩的差異。ルノワール自身は寒さが苦手なこともあり、(印象派の大きな特徴である戸外制作による)冬景色の風景は本作や習作を含め僅か数点しか制作しておらず、そのような点でも本作が画家の画業において特に重要視される作品でもある。
【微妙な陽光の変化による色彩的差異】 冬の到来によって葉が落ち、赤茶色に枯れた生垣。ルノワールは本作において、降り積もる雪は基より、陽光を遮る赤茶色の生垣や、おぼろげに見え隠れする近郊の町、そして上空に広がる青空など風景全体を通しての多用な色彩とその構成に興味を示しているのは明らかである。
【葉が落ち、赤茶色に枯れた生垣】 木枝の間から微かに見える近郊の町の屋根。かつてヴァルテール・ギヨームのコレクションであった本作はルノワールにしては非常に珍しい純粋な風景画作品で、他の印象派の画家たちが精力的に取り組んでいた≪雪景色≫を画題に制作された作品である。
【微かに見える近郊の町の屋根】 |