2011/08/02掲載
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ポン・ヌフ、パリ(Le Pont-Neuf) 1872年75.3×93.7cm | 油彩・画布 | ナショナル・ギャラリー
ポン・ヌフ橋の上を忙しなく行き交う馬車や人々。本作は、パリ最古の橋として知られる≪ポン・ヌフ橋≫を主題に、そこを行き交う人々と合わせて描き込んだ風景画作品で、ポン・ヌフ橋は1855年の万国博覧会の開催に合わせて推し進められたパリの都市改造計画の一環として近代化されている。
【忙しなく行き交う馬車や人々】
パリの街中を流れるセーヌ河。橋の上には数台の馬車を始め紳士や日傘を差す夫人、子供たち、兵士など多種多様な人物が大勢描き込まれており、当時のパリの活気と喧騒がよく感じられる。また画面右側に配されるセーヌ河の奥にはアンリ4世の騎馬像を、さらにその奥にはシテ島を確認することができる。
【パリの街中を流れるセーヌ河】
どこか荒涼とした空の印象。本風景は柔らかく素早い筆捌きで描き込まれているものの形象そのものは明確に感じることができ、1870年代中期から後半にかけて制作された画家の作品と比較すると、ルノワール独自の表現描写の変容と進化を見出すことができる。
【どこか荒涼とした空の印象】 |