2007/04/03掲載
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ピアノに寄る娘たち(Jeunes filles au piano) 1892年116×90cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ) 関連:メトロポリタン美術館所蔵 『ピアノに寄る娘たち』 関連:オランジュリー美術館所蔵 『ピアノに寄る娘たち』
ピアノの前に座る白い衣服の少女。二人の少女がピアノに向かい楽譜を読む姿が描かれる本作は非公式ながら国家からリュクサンブール美術館収蔵のために依頼され、画家が1892年に手がけられた作品である。
【ピアノの前に座る白い衣服の少女】
椅子とピアノに寄りかかる赤い衣服の少女。本作の流動的で大ぶりな筆触によって表現される(モデルは不詳である)二人の少女の愛らしい表情や頭髪、衣服の動き、柔らかい肌の質感などの描写は、まさに「愛でる」「安らぎ」「ぬくもり」「家庭的」などという言葉が相応しい絶妙な雰囲気を醸している。
【ピアノに寄りかかる赤い衣服の少女】
流動的で動きの大きい衣服の表現。画面全体においても、この表現手法を用いることによって、主対象である人物(二人の少女)と物体(ピアノや楽譜、家具)、その動作、室内空間がひとつとなって溶け合うかのような効果も生み出している。
【流動的で動きの大きい衣服の表現】
少女らが見つめる楽譜。この頃の画家が意欲的に描いた若い娘(少女)らが何かをおこなう姿やその動作を、豊潤で豊かな暖色を用い豪奢に描かれているなど、光の効果を探求した印象派時代から、線描を重要視した古典主義時代(枯渇の時代)を経て辿り着いたルノワール独自の様式が示されている。
【少女らが見つめる楽譜】 |