Description of a work (作品の解説)
2008/09/29掲載
Work figure (作品図)
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ヴァルジュモンの子供たちの午後


(L'apres-midi des enfants Wargemont) 1884年
130×170cm | 油彩・画布 | ベルリン国立絵画館

印象派を代表する大画家ピエール=オーギュスト・ルノワールの枯渇時代を象徴する作品のひとつ『ヴァルジュモンの子供たちの午後』。本作は以前は大使館の書記官を務めていた裕福な銀行家ポール・ベラール氏の3人の娘が、夏に同氏のノルマンディー地方の英国海峡に面するワルジュモンにある別荘へ滞在していた時に制作された作品である。画面右側では赤色の細かい模様が入った白色の衣服を身に着けた長女マルトが椅子に腰掛け縫い物をしており、傍らには三女リュシーが人形を抱きながら観る者と視線を交わらすようにこちらを向いている(長女マルト縫い物は人形の衣服を想像させる)。一方、画面左側には次女マルグリット(マルゴ)がソファーに座りながら本を読んでいる姿が描かれており、次女マルゴと三女リュシーは上品かつ清潔な青い衣服を身に着けている。画面は左上部分から対角線上にかけてほぼ半分を寒色を、右下部分からは暖色を中心に構成されている点など、画家の生涯的な課題と取り組みでもある計画的な色彩配置とその対比的効果の設計をおこなっていたことが良く表れているが、冷感な印象を受ける色彩の使用や、鮮やか過ぎる程の明確で輪郭線による形態の硬質的な表現など印象主義的表現に限界と違和感を感じていた画家が新たな表現を模索していた1880年代前半の枯渇時代(探求の時代とも呼称される)の代表的な表現が随所に示されている。また短く早い筆触による艶やかな床面(フローリング)の質感表現や、窓の奥の屋外風景の光に溢れた表現なども特に注目すべき点のひとつであり、今も色褪せることなく観る者の目を強く惹きつけている。


【全体図】
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縫い物をする長女マルトの姿。本作は以前は大使館の書記官を務めていた裕福な銀行家ポール・ベラール氏の3人の娘が、夏に同氏のノルマンディー地方の英国海峡に面するワルジュモンにある別荘へ滞在していた時に制作された作品である。



【縫い物をする長女マルトの姿】
ソファーに腰掛け本を読む次女マルグリット(マルゴ)。画面左側には次女マルグリット(マルゴ)がソファーに座りながら本を読んでいる姿が描かれており、次女マルゴと三女リュシーは上品かつ清潔な青い衣服を身に着けている。



【ソファーに腰掛け本を読む次女マルゴ】
人形を抱きながら観る者の方を向く三女リュシー。冷感な印象を受ける色彩の使用や、鮮やか過ぎる程の明確で輪郭線による形態の硬質的な表現など1880年代前半の枯渇時代の代表的な表現が随所に示されている。



【観る者の方を向く三女リュシー】

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