Description of a work (作品の解説)
2007/04/23掲載
Work figure (作品図)
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グランド・ジャット島の日曜日の午後

 1884-1886年
(Un demanche après-midi á l'île de la Grande Jatte)
205.7×305.8cm | 油彩・画布 | シカゴ美術研究所

新印象派の創始者であり、点描表現における第一人者でもあるジョルジュ・スーラ最大の代表作『グランド・ジャット島の日曜日の午後』。本作は本来1885年のアンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会)に出品される予定で1884年から制作に着手された作品であるが、同展の開催が中止となり、変更と修正を加えた後、最後の印象派展となった1886年の第八回印象派展に出品され、大きな反響を呼んだ。さらに本作は1889年以降に画布から枠を外し、赤色と青色による点描による縁が加筆されたことが知られている。本作はパリ北西、セーヌ河の中央にある細長い島≪グランド・ジャット島≫で人々が夏の余暇を過ごす情景を描いた作品で、本作がそれまでの印象派の作品と最も異なるのは、点描表現による自然風景の描写にある。印象派の作品は偶然性を利用した躍動感と超自然的な(直感的)色彩に満ちているが、スーラが本作で示した「色彩の同時対照の法則(ミシェル=ウジェーヌ・シュヴルール著)」や「近代色彩論(オグデン・ルード著)」など科学的理論に基づく新印象派的様式とその表現は、理論的な色彩配置による美しく秩序的な光と自然に則した的確な色彩を獲得しており、その何れも非常に効果的な役割を果たしている。しかし同時に新印象派的様式は、印象主義独自の豊かな躍動性や内面的心象の表現を喪失しており、どこか真面目で静謐な雰囲気や平面性が強調される(ある種の)没個性的な表現に陥っていることは注目すべき点である。本作は印象派的な様式で描写された画面に、さらに点描を加えたかたちで制作されており、ひとつひとつの色彩の点は一定の距離を境に、隣り合う点が互いに混ざり合い、ひとつの別の色彩と面として眼に映るという科学的な近代的色彩論が実践された本作は、それまでに誰も見たことのない色彩の美しさと、圧倒的な斬新性によって観る者に衝撃を与えた。なお画家は本作を制作するにあたり数多くの習作や素描を手がけており、メトロポリタン美術館には最終的な習作とされる『グランド・ジャット島の日曜日の午後』が所蔵されている。

関連:習作『グランド・ジャット島の日曜日の午後』


【全体図】
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日陰に立つシルクハット帽の男と日傘を差す女。本作は本来1885年のアンデパンダン展に出品される予定で1884年から制作に着手された作品であるが、同展の開催が中止となり、変更と修正を加えた後、最後の印象派展となった1886年の第八回印象派展に出品され、大きな反響を呼んだ。



【日陰に立つ帽子の男と日傘を差す女】
グランド・ジャット島で煙草を吹かしくつろぐ男。本作がそれまでの印象派の作品と最も異なるのは科学的理論に基づく表現にあり、理論的な色彩配置による美しく秩序的な光と自然に則した的確な色彩は、何れも非常に効果的な役割を果たしている。



【煙草を吹かしくつろぐ男】
点描表現による明瞭な色彩と光の表現。新印象派の様式は印象主義独自の豊かな躍動性や内面的心象の表現を喪失しており、真面目で静謐な雰囲気や平面性が強調される(ある種の)没個性的な表現に陥っていることも注目すべき点である。



【点描表現による明瞭な色彩と光の表現】
近代的色彩論に基づく的確な色彩描写。画家は本作を制作するにあたり数多くの習作や素描を手がけており、メトロポリタン美術館には最終的な習作とされる『グランド・ジャット島の日曜日の午後』が所蔵されている。



【近代的色彩論に基づく的確な色彩描写】

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