Description of a work (作品の解説)
2007/08/24掲載
Work figure (作品図)
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灰色と黒のアレンジメント 第2番 トマス・カーライルの肖像

(Arrangement in Grey and Black, No2: Portrait of Thomas Carlyle)
1872年 | 171×143.5cm | 油彩・画布 | グラスゴー市美術館

印象主義とは一線を画す孤高の画家ジェームズ=アボット=マクニール・ホイッスラー作『灰色と黒のアレンジメント 第2番 トマス・カーライルの肖像』。本作は画家随一の代表作『灰色と黒のアレンジメント 第1番 画家の母の肖像』と同様の題名が付けられるよう≪灰色と黒のアレンジメント≫シリーズの第二作目として知られる作品で、当時のイギリスの著名な評論家兼歴史家トマス・カーライルが第一作目を見て感嘆し、ホイッスラーに肖像を制作させたと伝えられている。本作では制作当時、既に77歳を過ぎていたカーライルの寡黙で威厳的な人物像が見事に示されている。特に黒衣に身を包むカーライルの横顔は、数年前に妻を亡くし精神的にも疲弊を見せていた陰鬱な一面がよく表現されており、虚空を見つめるかのような視線には複雑な表情が見え隠れしている。また画面全体から醸し出される静謐で静寂な独特の雰囲気の描写も秀逸の出来栄えであり、画家自身、本作について「この肖像画は会心の出来である。彼の柔和ながら悲しみに沈む眼差しや、誤解を受けやすいであろう(彼の)敏感な感受性を描き出すことが出来た。私は彼のそのような性質を好ましく思う」と言葉を残している。

関連:『灰色と黒のアレンジメント 第1番 画家の母の肖像』


【全体図】
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カーライルの寡黙で威厳的な人物像。本作は≪灰色と黒のアレンジメント≫シリーズの第二作目として知られる作品で、当時のイギリスの著名な評論家兼歴史家トマス・カーライルが第一作目を見て感嘆し、画家に肖像を制作させたと伝えられている。



【カーライルの寡黙で威厳的な人物像】
膝の上で組まれる手。本作では制作当時、既に77歳を過ぎていたカーライルの寡黙で威厳的な人物像が見事に示されており、特に黒衣のカーライルの横顔は、数年前に妻を亡くし精神的にも疲弊を見せていた陰鬱な一面がよく表現されており、虚空を見つめるかのような視線には複雑な表情が見え隠れしている。



【膝の上で組まれる手】
壁に掛けられる絵画。画家自身、本作について「この肖像画は会心の出来である。彼の柔和ながら悲しみに沈む眼差しや、誤解を受けやすい敏感な感受性を描き出すことが出来た。私は彼のそのような性質を好ましく思う」と言葉を残している。



【壁に掛けられる絵画】

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