Description of a work (作品の解説)
2007/07/31掲載
Work figure (作品図)
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灰色と緑のハーモニー:シシリー・アレキサンダー嬢


(Harmony in Gray and Green : Miss Cicely Alexander)
1872-73年 | 190.2×97.8cm | 油彩・画布 | テート・ギャラリー

印象主義時代にロンドンで活躍した画家ジェームズ=アボット=マクニール・ホイッスラーが1870年代に手がけた肖像画の代表的作例のひとつ『灰色と緑のハーモニー:シシリー・アレキサンダー嬢』。本作は裕福な銀行家で美術収集家であったシシリー・ヘンリエッタ・アレキサンダーの依頼により、同氏の9人の娘のひとりを描いた肖像画作品である。1870年以降に手がけられたホイッスラーの肖像画は、ロココ美術全盛時代にイギリスで活躍した英国絵画史屈指の大画家トーマス・ゲインズバラの等身大的肖像画に倣う肖像展開がおこなわれるが、本作では当時席巻した王室様式、所謂ヴィクトリア朝様式に見られる過度の品性や感傷性、装飾性などを一切廃し、色調を抑制し落ち着きと格調が融合したの独自的な色彩描写、薄塗りによる軽やかで繊細な筆触、単純で明快な構図、そして日本の浮世絵を着想源とした色彩と形状による画面構成や展開などの肖像表現によって、画家の肖像画作品を代表する完成された(独自性の強い)美的様式が強く示されている。また本作の全身立像としての対象の捉え方やその表現に、スペイン・バロック絵画の巨匠ディエゴ・ヴェラスケスの影響が古くから指摘されている。なお本作での肖像画に似つかわしくないモデルの少女の無愛想な表情は、本作を制作するために衣服の意匠やモデルの少女の姿勢(ポーズ)を己の意とするようホイッスラーが厳密に指示したことで、しばしば少女が号泣した為であると考えられている。


【全体図】
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モデルの少女の無愛想な表情。本作は裕福な銀行家で美術収集家であったシシリー・ヘンリエッタ・アレキサンダーの依頼により、同氏の9人の娘のひとりを描いた肖像画作品で、ホイッスラーが1870年代に手がけた肖像画の代表的作例のひとつとして広く知られている。



【モデルの少女の無愛想な表情】
薄塗りによる軽やかで繊細な筆触。本作の色調を抑制し落ち着きと格調が融合したの独自的な色彩描写、薄塗りによる軽やかで繊細な筆触、単純で明快な構図、そして日本の浮世絵を着想源とした色彩と形状による画面構成や展開は、この頃の画家の肖像画の最も大きな特徴のひとつである。



【薄塗りによる軽やかで繊細な筆触】
日本の浮世絵を着想源とした色彩と形状による画面構成や展開。画家の肖像画作品を代表する完成された(独自性の強い)美的様式が強く示されている本作の全身立像としての対象の捉え方やその表現に、スペイン・バロック絵画の巨匠ディエゴ・ヴェラスケスの影響が古くから指摘されている。



【日本の浮世絵を着想源とした画面構成】

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