Description of a work (作品の解説)
2007/10/22掲載
Work figure (作品図)
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白のシンフォニーNo.3

 (Symphony in White. No3) 1867年
52×76.5cm | 油彩・画布 | バーバー美術研究所

印象主義時代に英国のロンドンで活躍した画家ジェームズ=アボット=マクニール・ホイッスラー作『白のシンフォニーNo.3』。本作は『白のシンフォニーNo.1 ― 白衣の少女』、『白のシンフォニーNo.2 ― 白衣の少女』に続く、≪白のシンフォニー≫シリーズの三番目の作品であるが、≪白のシンフォニー≫と画家自身が名称を付けたのは本作は最初である(音楽的な用語を名称に用いたのも本作が最初)。同時代に活躍したラファエル前派の画家アルバート・ムーアの『頸飾り(首飾り)1875年頃制作』からの影響が指摘されている本作は、独特な淡色的な色彩や装飾性に富んだ画面構成など、ホイッスラーが1865年にムーアと出会って以来、互いに認め合いながらも影響を及ぼし合い続けたムーアの作品の匂いを如実に感じさせる。また完成時期は異なるものの、制作開始時期はほぼ同時期であることが知られている本作とムーアの『頸飾り(首飾り)』の構図やモデルの姿態、日本趣味的な構成要素などを比較してみても、殆ど同一であることから、如何に両者が刺激し合っていたかが窺い知れる。本作では、それまでの画家の作品にはあまり見られないメランコリック(憂鬱的)な雰囲気や画面全体を漂う倦怠的な空気、布地を多用した装飾的な衣服の描写などは明らかなムーアの影響であり、画家の表現様式的変化(進化)を考察する上でも本作は特に重要視される作品のひとつである。

関連:アルバート・ムーア作 『頸飾り(首飾り)』


【全体図】
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画面全体を漂う倦怠的な空気感。本作は『白のシンフォニーNo.1』、『白のシンフォニーNo.2』に続く、≪白のシンフォニー≫シリーズの3番目の作品であるが、≪白のシンフォニー≫と画家自身が名称を付けたのは本作は最初である(音楽的な用語を名称に用いたのも本作が最初)。



【画面全体を漂う倦怠的な空気感】
憂鬱そうにソファーへ凭れ掛かる黒髪の女。本作に示されるそれまでの画家の作品にはあまり見られないメランコリック(憂鬱的)な雰囲気や画面全体を漂う倦怠的な空気、布地を多用した装飾的な衣服の描写などは明らかなムーアの影響である。



【憂鬱そうな表情の黒髪の女】
日本趣味的な構成要素である団扇。ホイッスラーは1865年にムーアと出会って以来、互いに認め合いながらも影響を及ぼし合い続けたことが知られており、本作でも独特な淡色的な色彩や装飾性に富んだ画面構成などにそれが認められる。



【日本趣味的な構成要素である団扇】

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