2009/01/02掲載
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四季松図屏風(The four seasons of pine trees) 1641-1646年頃と推測 各156.5×367cm | 六曲一双・紙本金地着色 | 大徳寺(京都) 関連:『四季松図屏風』全体図/左隻拡大図/右隻拡大図 天へと伸びる春の松の若々しい姿。一般的には探幽40代前半の作品と推測されている本作は、四本の≪松≫の多様な姿のみを描いた作品で、単一の画題で四季を表すという大和絵の手法を取り入れた代表的作例としても特に重要視されている。
【天へと伸びる春の松の若々しい姿】 流水を従える堂々とした夏の松の太幹。右隻となる画面最右側に若木を思わせるような天へと伸びる春の松が描かれており、その隣には太く雄々しい幹を屈曲させた立派な夏の松が流水を従えるように堂々と配されている。
【流水を従える堂々とした夏の松の太幹】
紅葉した蔦が絡まる秋の松の悠々とした姿。本作の十分過ぎるほど空間が確保される金地余白の大胆な活用や、単純簡素で清潔爽快な構成は探幽が研究を重ねた大和絵と自身の独特の美の世界の統一的融合が明確に感じられる。
【紅葉した蔦が絡まる秋の松】
捩じらせた身に雪が降り積もる冬の松。本作の四本の松を幼少期(春)、青年期(夏)、壮年期(秋)、老齢期(冬)と四季に喩えたと指摘する研究者も多く、そのような観点から本作には探幽の内面的傾向や精神的世界観を導き出すことができる。
【身に雪が降り積もる冬の松】 |