2008/01/01掲載
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楓図壁貼付(Maple Tree) 1593年頃各172.5×139.5cm | 紙本金碧・4面 | 智積院(京都市東山) 関連:『楓図壁貼付』全体図/左隻拡大図/右隻拡大図 関連:『桜図襖貼付』全体図/左隻拡大図/右隻拡大図
色彩豊かに入り乱れる装飾的表現。豊臣秀吉の三歳で夭折した長男、鶴松の菩提を弔うために建立された京都の祥雲寺(現在の智積院)の客殿障壁画のひとつとして制作された本作は、雄雄しく大地に立つ楓の巨木を描いた作品である。
【色彩豊かに入り乱れる装飾的表現】
長い年月の経過を感じさせる木肌の質感。本作の画面から飛び出さんとする楓の巨木表現は、秀吉好みの大画様式であるものの、紅葉の葉や木犀、鶏頭、萩、菊が色彩豊かに入り乱れる装飾的表現や、自然的躍動感に溢れる豪壮かつ繊細な描写は長谷川一門的大画様式とも呼べる独自の様式を呈している。
【年月の経過を感じさせる木肌の質感】
重量感を感じさせる岩の硬質性。智積院は1682年に大火事により建物が焼失し、幸いにも障壁画部分の大部分は焼け残ったものの、再建された智積院の寸法に合わせる為に裁断・接合されている為、現在は全体像を確認することは叶わない。
【重量感を感じさせる岩の硬質性】
流水の流線の優美性。さらに金碧の背景に映える群青色で描かれた流水の流線の優美性、重量感を感じさせる画面下の岩の硬質性、生命感に溢れる巨木や草花の生命感、長い年月の経過を感じさせる木肌の質感など、画面内における対照性と調和性の見事さも特筆に値する。
【流水の流線の優美性】 |