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キューピッドの教育 (Educazione di Amore) 1528年頃
155×91.5cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー |
コレッジョの甘美なる官能性が最も良く示される代表的な神話画のひとつ『キューピッドの教育』。本作は対画である『眠れるヴィーナスとキューピッド、サテュロス』と共にマントヴァ公フェデリーコ・ゴンザーカがコレッジョに依頼した最初の作品で、美の女神ヴィーナスとギリシア神話のヘルメスと同一視され、英語表記ではマーキュリーとされている商業神メルクリウスが、愛の伝道者キューピッドに愛の言葉と意味を教えるという内容が描かれている。愛を教育するメルクリウスと、愛らしいキューピッドの感情豊かな人物描写も特筆すべき点であるが、本作で最も魅惑と神秘に満ちた部分は、美の女神ヴィーナスの表現であり、古典的要素を踏まえながらも鬱蒼とした森の中に立つ美の女神ヴィーナスの輝く肌と丸みを帯びる豊かな肉体は、それまでにコレッジョが表現してきた自然美と肉体美の融合が、ひとつの頂点に達したことを示している。なお制作年代については異論も多い。
関連:対画『眠れるヴィーナスとキューピッド、サテュロス』
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