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スープ皿の聖母 (Madonna della scodella) 1530年
218×137cm | 油彩・板 | パルマ国立美術館 |
エミリア派の巨匠コレッジョを代表する宗教画作品のひとつ『スープ皿の聖母』。1524年頃にパルマのサン・セポルクロ聖堂の為に依頼され手がけられた本作の主題は、ユダヤの王ヘロデが神の子イエスの降誕を知り、ベツレヘムに生まれる新生児の全てを殺害するために放った兵士から逃れるため、エジプトへと逃避した聖母マリアと幼子イエス、マリアの夫の聖ヨセフを描いた≪エジプトへの逃避途上の休息≫で、本作の名称ともなったスープ皿を用いて水をすくい上げる仕草は、新約聖書外典≪偽マタイ福音書≫中の「エジプトへの逃避」に関する記述に基づいている。本作に示される聖母マリアと幼子イエスの甘美で官能性豊かな表情と、登場人物全体で構成されるダイナミックな構図はコレッジョの様式を代表するものであり、マニエリスムの典型的な様式とは異なった、独自の前バロック的な表現手法として高い評価を受けている。
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