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ろうそくに火を灯す少年 1575年頃
(Muchacho encendiendo una candela)
61×51cm | 油彩・画布 | ペイソン・コレクション(New York) |
エル・グレコ初期の代表作品『ろうそくに火を灯す少年』。暗中、ろうそくに火を灯す年若い少年の清貧な表情と、灯されたろうそくの炎の、神秘的であたたかい輝きが見事に表現される本作は1575年頃、イタリア滞在時に描いたと推定され、エル・グレコが残した全作品中においても、初期に部類されている。しかしながら、この見る者を圧倒する深い精神性を持った人物の表現や、対象を強く照らす光彩と、そこに落ちる陰影の表現は、後のエル・グレコの大きな特徴を示すものであり、また本作において最も作品の魅力を為すところである。最も印象的である神秘的であたたかいろうそくの炎の一瞬の揺らめきまでも、見事に捉え表現したエル・グレコの作品は、印象派の画家たちを始めとした後世の画家に多大な影響を与えた。
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