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ラオコーン(ラオコオン) (Laocoonte) 1610-1614年頃
142×193cm | 油彩 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー |
エル・グレコ唯一の神話画となる『ラオコーン(ラオコオン)』。本作の主題はトロイア市の神官ラオコーンが、市を包囲するギリシア軍が残した、戦いの女神ミネルヴァへの捧げ物である木馬へ槍を投じたことで、息子達が大蛇に絞め殺される神話を描いた≪ラオコーン(ラオコオン)≫で、この場面では、大蛇に襲われる神官ラオコーンとその息子たちの、鬼気迫る迫真の姿が、エル・グレコ独特の世界観によって見事に表現されている。独特の世界観と表現で描かれた本作は、エル・グレコの故郷であるギリシアの神話を描いたものであると同時に、現存するエル・グレコ作品の中で、唯一となる神話画としても有名である。本来アポロとディアナの2人のみがラオコーンを見つめる者として描かれていたが、1950年代におこなった修復での洗浄によって、画家が塗り潰したとされる逆方向を向いたディアナの顔が現れた。
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