■ |
聖セバスティアヌス(San Sebastian)1577-1578年頃
191×152cm | Oil on canvas | バレンシア大聖堂 |
エル・グレコの代表的な聖人画のひとつ『聖セバスティアヌス』。エル・グレコの大きな特徴である極端に縦に伸びだ人体構造と、筆跡を残す独特な画風がよく示される本作は、聖セバスティアヌスは歴史的根拠は皆無であるが、三世紀後半に生まれたとされるガリア出身のローマ軍人で、マルクスとマルケリヌスというキリスト教徒に話し掛けたことで、キリスト教信者であることが発覚し、杭に打ちつけられた後、矢を放たれた逸話が有名であるが、それで殉教はせず、その後、イレネという女性より癒されるも、皇帝へその過酷さを訴えたがために、棍棒で打たれ殉教したとされる、聖ペトロ、聖パウロに続く三人目のローマ聖人≪聖セバスティアヌス≫を描いたもの。古くより人気が高く幾多の画家が描いてきた聖セバスティアヌスは、矢から射手の、鏃は鉄であることから古鉄商の守護聖人であり、また、中世時代には、ペストはアポロが放つ矢によって引き起こされるとされていたことから、ペストに対する守護聖人であった。また本来全身像であったが、下部(脚部)か切り取られたという経緯を持つプラド美術館所蔵の『聖セバスティアヌス』も画家随一の代表作。
関連:プラド美術館版『聖セバスティアヌス』
|