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十字架降下 (Deposizione) 1521年
333×196cm | Oil on panel | ヴォルテッラ美術館 |
現在ヴォルテッラの市立美術館に所蔵されるロッソ・フィオレンティーノの最も有名な作品のひとつ『十字架降下』。磔刑に処されたキリストを十字架から降ろす場面を描く≪十字架降下≫を主題としながらも、キリストの甘美な表情、豊かな色彩、引き伸ばされ立体を強調した人体などそれまでに無い斬新な表現を用いられる点からもわかるように、ルネサンスでは見られなかった技巧的定義から独自の表現を確立したマニエリスムという様式の一面を最もよく表している作品でもある。また本作はロッソ・フィオレンティーノの働きかけによって1521年に十字架信心会のために制作され、サン・フランチェスコ聖堂に隣接した昼の十字架礼拝堂に置かれたとされている。画面中右に配される、両手で顔を覆う聖ヨハネの後ろに置かれたハシゴの一番下部分に画家の署名と制作年記が記されている。本作の最も大きな特徴であるこのキリストの肉体表現であるが、ミケランジェロ的解剖学の造形上の特徴を参照した形跡が認められている。また聖ヨハネの後ろに置かれたハシゴの一番下部分に画家の署名と年記『RVBEVS. FLO. FAC. A. S. MIDXXI』が記されている。
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