Description of a work (作品の解説)
2010/07/14掲載
Work figure (作品図)
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キューピッドとプシュケ

 (Amour et Psyché) 1817年
184×242cm | 油彩・画布 | クリーグランド美術館

フランス新古典主義最大の巨匠ジャック=ルイ・ダヴィッド晩年期を代表する神話主題作品のひとつ『キューピッドとプシュケ』。フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトが失脚し、王党派の国政復帰に端を発したブリュッセル亡命の翌年に、事業で成功を収めたイタリアの裕福な美術収集家ソマリヴァ伯爵の依頼によって制作された本作は、帝政ローマ時代の小説家アプレイウスの著書≪変容(黄金のロバ)≫に記される≪愛の神キューピッド(ギリシア神話におけるエロスと同一視される)≫と地上界における絶世の美女≪王女プシュケ≫の寓話を主題とした作品である。本主題≪キューピッドとプシュケ≫は、見てはならないキューピッドの姿を目撃してしまった王女プシュケが、女神ウェヌス(ギリシア神話におけるアプロディーテと同一視される)の様々な試練を経て、開封を固く禁じられていた美の箱を開けてしまったプシュケがその中に閉じ込められていた永遠の眠り(冥府の眠り)に捕らわれ深い眠りにつくものの、エロスの献身的な愛と主神ユピテル(ギリシア神話におけるゼウスと同一視される)の仲裁を経て、再び結ばれるという逸話であり、本作の画面中央へ配されるベッドの上へは永遠の眠りに誘われる王女プシュケと傍らに寄り添う愛の神キューピッドの姿が官能性豊かな裸体の姿で描き込まれている。さらに両者の頭上には一匹の蝶が配されており、番でないことから愛(すなわちプシュケ)の欠落を暗示させている。高度な写実的を用いたやや堅く作為性を感じさせる対象(本作ではキューピッド)や姿態の表現と安定感の際立つ構図にはダヴィッド後期の様式美がよく示されている。


【全体図】
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やや作為性を感じさせるキューピッドの表情。ブリュッセル亡命の翌年に、事業で成功を収めたイタリアの裕福な美術収集家ソマリヴァ伯爵の依頼によって制作された本作は、帝政ローマ時代の小説家アプレイウスの著書≪変容(黄金のロバ)≫に記される≪愛の神キューピッド≫と地上界における絶世の美女≪王女プシュケ≫の寓話を主題とした作品である。



【作為性を感じさせる表情】
深い眠りに誘われる王女プシュケ。本作の画面中央へ配されるベッドの上へは永遠の眠りに誘われる王女プシュケと傍らに寄り添う愛の神キューピッドの姿が官能性豊かな裸体の姿で描き込まれている。



【深い眠りに誘われる王女プシュケ】
一匹のみ描かれた蝶。この蝶は番でないことから愛(すなわちプシュケ)の欠落を暗示させている。高度な写実的を用いたやや堅く作為性を感じさせる対象(本作ではキューピッド)や姿態の表現と安定感の際立つ構図にはダヴィッド後期の様式美がよく示されている。



【一匹のみ描かれた蝶】

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