2010/05/02掲載
■
自画像(Autoportrait) 1794年81×64cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)
鋭い眼光で観る者と対峙する画家自身。本作はフランス革命時、ダヴィッドがロベスピエール失脚後に逮捕され、1794年9月から12月までの大凡4ヶ月間、リュクサンブール宮殿に拘留(幽閉)されていた時に制作された、画家本人を自ら描いた自画像作品である。
【鋭い眼光で対峙する画家自身】
荒々しく攻撃的な筆触。画面中央に描かれるダヴィッド自身は眉を上げ鋭い眼光で観る者と対峙し、その口元は固く閉ざされている。その表情からはリュクサンブール宮殿に拘留される自身の鬱屈した精神性の反映を明確に見出すことができる。
【荒々しく攻撃的な筆触】
画家としての自己を示す調色板。自らが置かれる不遇の立場を理解し、そこにある種の苛立ちや精神的閉塞、抑圧などを感じながらも理想美を追求する画家としての自己が明確に示される本作には、ダヴィッドの揺ぎ無い信念を感じずにはいられない。
【画家としての自己を示す調色板】 |