Description of a work (作品の解説)
2010/02/15掲載
Work figure (作品図)
■ 

パリスとヘレネの恋


(Amours de Pâris et Hélène) 1788年
147×180cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

新古典主義の巨匠ジャック=ルイ・ダヴィッドの典型的な新古典主義様式作品のひとつ『パリスとヘレネの恋』。1788年にアルトワ伯シャルル=フィリップの依頼により制作され、翌1789年(フランス革命の年)のサロンへも出品された本作は、最高女神ユノ、美の女神ウェヌス(ヴィーナス)、戦争の女神ミネルヴァの3人の女神の中で最も美しい者を選定する大役に任命された逸話≪パリスの審判≫でも著名な、トロイア王の息子であった羊飼いパリスが、美の女神ウェヌスを選んだ褒賞としてスパルタ王の娘で絶世の美女として名高いヘレネを妻として授かる≪パリスとヘレネ≫を主題とした神話的歴史画作品である(※このパリスとヘレネの引き合いがトロイア戦争の発端となった)。画面中央に配される竪琴を手にしたパリスは己の方へと引き寄せるようにヘレネの左腕を掴み、ヘレネは頬を赤く染め恥じらいを示しつつ、パリスに身を任せるような仕草を示している。両者の姿態や位置関係は「人」の一文字のように計算された対称性を示しており二人の精神的な深い結びつきは基より、画面中へ磐石たる安定性を生み出している。さらにパリスとヘレネの背後の寝台や緑色の布が掛けられた装飾壁、その奥に建てられる4本の女人柱像(カリアティード)などが垂直性と平面性を強調し堅牢な画面を構成させている。またパリスとヘレネの身に着ける衣服では朱色と青色による色彩的対比を示しており、またパリスの帽子とヘレネの衣服では色彩的同系を用いるなど、色彩描写においても観る者の理解度を高めさせている理知的な表現が施されている。


【全体図】
拡大表示
引き寄せるパリスと従うヘレネの姿。1788年にアルトワ伯シャルル=フィリップの依頼により制作され、翌1789年のサロンへも出品された本作はトロイア王の息子であった羊飼いパリスが、美の女神ウェヌスを選んだ褒賞としてスパルタ王の娘で絶世の美女として名高いヘレネを妻として授かる≪パリスとヘレネ≫を主題とした神話的歴史画作品である。



【引き寄せるパリスと従うヘレネ】
パリスが手にする黄金の竪琴。パリスとヘレネの姿態や位置関係は「人」の一文字のように計算された対称性を示しており二人の精神的な深い結びつきは基より、画面中へ磐石たる安定性を生み出している。



【パリスが手にする黄金の竪琴】
垂直を強調する女人柱像(カリアティード)。パリスとヘレネの背後の寝台や緑色の布が掛けられた装飾壁、その奥に建てられる4本の女人柱像(カリアティード)などが垂直性と平面性を強調し堅牢な画面を構成させている。



【垂直を強調する女人柱像】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ