Description of a work (作品の解説)
2010/01/05掲載
Work figure (作品図)
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サビニの女たち

 (Sabines) 1796-1799年
385×522cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

新古典主義における最も重要な画家のひとりジャック=ルイ・ダヴィッドの典型的な歴史画作品『サビニの女たち』。古代ローマの歴史家ティトゥス=リウィウス著『ローマ建国史』などに記されている、ローマ人によって未婚の女性を略奪されたサビニの男たちが、女を奪い返そうとローマ市内へ攻め入るものの、既にローマ人と結ばれていた≪サビニの女≫らが争いを仲裁する場面を描いた作品である(※ローマ市建設の時、女性が少なかった市の建設者ロムルスの発案により、サビニなど近隣の村人をローマの祭りへ誘い、未婚の女性を略奪したとされる)。最前景では画面中央よりやや右側へ手にする槍を振りかざしながらローマ人を攻撃しようとする勇猛なサビニの男の姿が、画面最左側には仰け反りながら左手に持つ盾で攻撃を防ごうとするローマ人が配されており、両者の間(画面中央よりやや左側)には彼らの争いを身体を張って必死に仲裁するサビニの女の姿が描き込まれている。前景から中景にかけてはローマ人とサビニ人の争いの場面が群集構図と幾多の長槍によって描写されており、観る者にこの戦いの激しさを伝えることに成功している。そして遠景へは古代ローマの建築物が当時の史学に基づきながら描かれている。本作で最も注目すべき点は水平的に配された登場人物の典型的な古典主義的構図と、容易く主題内容を理解することのできる説明的な場面表現にある。極めて高度な写実的描写を用い古代の彫刻のように理想化された肉体にて表される登場人物は、いずれも初見で明確にその立場や関係性を理解することができるような姿態で描写されており、さらにその傾向は各人物の配置にまで及んでいる。この非常に理知的で形式美的な表現こそ新古典主義の典型であり、本作ではその新古典主義の思想までもを強く感じることができる。


【全体図】
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ローマ市内へ攻め入りサビニの男。本作はローマ人によって未婚の女性を略奪されたサビニの男たちが、女を奪い返そうとローマ市内へ攻め入るものの、既にローマ人と結ばれていた≪サビニの女≫らが争いを仲裁する場面を描いた作品である。



【ローマ市内へ攻め入りサビニの男】
身体を張って仲裁するサビニの女。最前景では画面中央よりやや右側へ手にする槍を振りかざしながらローマ人を攻撃しようとする勇猛なサビニの男の姿が、画面最左側には仰け反りながら左手に持つ盾で攻撃を防ごうとするローマ人が配されており、両者の間には彼らの争いを身体を張って必死に仲裁するサビニの女の姿が描き込まれている。



【身体を張って仲裁するサビニの女】
身体を仰け反らせながら抵抗するローマ人。極めて高度な写実的描写を用い古代の彫刻のように理想化された肉体にて表される登場人物は、いずれも初見で明確にその立場や関係性を理解することができるような姿態で描写されており、さらにその傾向は各人物の配置にまで及んでいる。



【身体を仰け反らせるローマ人】

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