Description of a work (作品の解説)
2010/07/01掲載
Work figure (作品図)
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書斎のナポレオン・ボナパルト


(Portrait de Napoléon dans son cabinet de travail)
1812年 | 205×125cm | 油彩・画布
ワシントン・ナショナル・ギャラリー

18世紀後半から19世紀初頭にかけて活躍したフランス新古典主義最大の巨匠ジャック=ルイ・ダヴィッドの代表的な肖像画作品『書斎のナポレオン・ボナパルト』。英国人アレクサンドル・ダグラスの依頼により、スコットランドのハミルトン城食堂の装飾肖像画として制作された本作は、19世紀初頭の軍人兼政治家で、フランス第一帝政期の皇帝としてあまりにも有名な≪ナポレオン・ボナパルト(ナポレオン1世)≫が書斎に立つ姿を描いた全身肖像画作品である。ナポレオン43歳の時の肖像画でもある本作では、同氏は皇帝に即位し8年が経過しており、ダヴィッドが皇帝に即位する前の英雄ナポレオンを描いた名高き作品『サン・ベルナール峠を越えるナポレオン・ボナパルト』の雄々しく凛々しい姿と比較すると本作のナポレオンには明確な豊頬と肥満を見出すことができる。しかしながら皇帝の姿にはその位に相応しい貫禄と風格も同時に感じることができる。また画面中央に配されるナポレオンは左足をやや下げた独特の立ち姿で描かれており、緊張と弛緩が絶妙にせめぎ合う立ち振る舞いには観る者を惹きつけるある種の魅力が備わっている。このナポレオンの本質的な姿を、ダヴィッドは写実的描写を用いて厳格で単純な垂直を強調する造形の中に見事、描き出している点は特筆に値するものである。また画面中へ配される豪華な椅子や柱時計などの家具は全て、前時代を象徴するロココ様式とは明確に異なる、当時一世を風靡したナポレオン様式(帝政様式)であり、それらの造形美が人物の内面性と見事に呼応している点も注目点として挙げられる。


【全体図】
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観る者を視線を交わす皇帝ナポレオン。英国人アレクサンドル・ダグラスの依頼により、スコットランドのハミルトン城食堂の装飾肖像画として制作された本作は、19世紀初頭の軍人兼政治家で、フランス第一帝政期の皇帝としてあまりにも有名な≪ナポレオン・ボナパルト(ナポレオン1世)≫が書斎に立つ姿を描いた全身肖像画作品である。



【観る者を視線を交わす皇帝ナポレオン】
非常に緻密な写実的描写。ダヴィッドが皇帝に即位する前の英雄ナポレオンを描いた名高き作品『サン・ベルナール峠を越えるナポレオン・ボナパルト』の雄々しく凛々しい姿と比較すると本作のナポレオンには明確な豊頬と肥満を見出すことができる。しかしながら皇帝の姿にはその位に相応しい貫禄と風格も同時に感じることができる。



【非常に緻密な写実的描写】
一世を風靡した帝政様式の家具。画面中へ配される豪華な椅子や柱時計などの家具は全て、前時代を象徴するロココ様式とは明確に異なる、当時一世を風靡したナポレオン様式(帝政様式)であり、それらの造形美が人物の内面性と見事に呼応している点も注目点として挙げられる。



【一世を風靡した帝政様式の家具】

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