2009/11/23掲載
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村の花嫁(Accordée de village) 1761年92×117cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)
持参金を受け取る花婿。1761年のサロンに『結婚』という名称で出品され、絶大な支持を集めた後、当時の建築総督マリニが39000リーヴルという破格の金額で購入した本作は、ある村において≪結婚する娘と一家、そして花婿≫の光景を描いた風俗画作品である。
【持参金を受け取る花婿】
嫁ぐ娘(花嫁)と別れを惜しむ妹。画面左側では娘(花嫁)との別れを悲しむ母親や妹に腕や肩を掴まれた、節目がちな一家の娘が配されており、その情景からは物語画のように多少芝居がかり感傷的過ぎる節は感じられるものの、≪娘の嫁ぎ≫という別れの悲しさが十分伝わってくる。
【嫁ぐ娘(花嫁)と別れを惜しむ妹】
花婿に持参金を手渡す父親と花嫁に嫉妬する姉。画面右側では花婿に持参金を手渡す椅子に腰掛けた娘の父親や、結婚の契約書を作成する村の公証人、さらには先に結婚する妹に対して嫉妬心を抱く姉の姿が描き込まれるなど、≪結婚≫そのものの世俗的で現実的な側面と人物の複雑な心理状態が見事に描写されている。
【持参金を手渡す父親と嫉妬する姉】
結婚の契約書を作成する公証人。これまでの風俗画にはみられないこのような物語性(ストーリー性)を感じさせる本作の風俗画表現は当時、批評家たちから非常に高い評価を与えられた。
【結婚の契約書を作成する公証人】 |