Description of a work (作品の解説)
2011/03/30掲載
Work figure (作品図)
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聖ペテロの天国の鍵の授与

 1820年頃-1841年頃
(Jésus remet à saint Pierre les clefs du paradis)
280×217cm | 油彩・画布 | アングル美術館(モントーバン)

19世紀フランス新古典主義時代を代表する画家ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルによる宗教画作品『聖ペテロの天国の鍵の授与』。画家のローマ第一次滞在時に同地のトリニタ・ディ・モンティ教会からの依頼により制作が開始され、20余年の経過の後、完成をみた作品である本作は、新約聖書マタイ伝16章18-1 9に記される、主イエスがキリスト十二使徒第1の弟子≪聖ペテロ(聖ペトロ)≫へ天国の鍵を授与する場面≪聖ペテロの天国の鍵の授与≫を描いた作品で、1855年の万国美術展への出品作品としても知られている。本作の主題≪天国の鍵の授与≫は、キリスト十二使徒が集う中、神の子イエスが跪く聖ペテロに対して「わたしはこの岩の上のわたしの教会を建てる。黄泉の国もこれに対抗できない。わたしはあなたに天の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐのは天上でもつながれ、あなたが地上で解くことは天上でも解かれる」と、天国の門を開く鍵を与える場面で、聖ペテロの名称は教会の中心人物たる≪岩(アラム語でジェファ)≫に由来している。本作では、画面左側へ天上を示しながら天の鍵を聖ペテロへ与える主イエスが光輪と共に神々しく描きこまれ、その足元には跪いた聖ペテロが信仰深く、かつ神の威光に畏怖するような眼差しで主イエスを見つめている。さらにその背後では他のキリスト十二使徒たちが各々様々な表情を浮かべながら本場面に立ち会う姿が配されている。主イエスの厳格な正面性や物音ひとつ感じさせない静謐な場面描写、そして独特の静けさと呼応する、まるで時間が止まっているかのような非運動性には典型的な新古典主義の様式が示されている。なお本作をてがけるにあたりアングルはルネサンス三大巨匠のひとりラファエロ・サンツィオが手がけたタピスリー下絵『聖ペテロの天国の鍵の授与』に着想を得ている。

関連:ラファエロ作 聖ペテロの天国の鍵の授与』


【全体図】
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天上を示しつつ天国の鍵を与える主イエス。画家のローマ第一次滞在時に同地のトリニタ・ディ・モンティ教会からの依頼により制作が開始され、20余年の経過の後、完成をみた作品である本作は、主イエスがキリスト十二使徒第1の弟子≪聖ペテロ≫へ天国の鍵を授与する場面≪聖ペテロの天国の鍵の授与≫を描いた作品である。



【天国の鍵を与える主イエス】
信仰と畏怖の表情を浮かべる聖ペテロ。本作では、画面左側へ天上を示しながら天の鍵を聖ペテロへ与える主イエスが光輪と共に神々しく描きこまれ、その足元には跪いた聖ペテロが信仰深く、かつ神の威光に畏怖するような眼差しで主イエスを見つめている。



【信仰と畏怖の表情を浮かべる聖ペテロ】
様々な表情の十二使徒たち。主イエスの厳格な正面性や物音ひとつ感じさせない静謐な場面描写、そして独特の静けさと呼応する、まるで時間が止まっているかのような非運動性には典型的な新古典主義の様式が示されている。



【様々な表情の十二使徒たち】

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