Description of a work (作品の解説)
2009/10/23掲載
Work figure (作品図)
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 (La source) 1820-1856年
163×80cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

19世紀フランス絵画界の偉大なる巨匠ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルの代表作『泉』。画家のみならず新古典主義における裸婦の傑作としても名高い本作は、アングルがローマ賞受賞後、20年近く滞在したイタリアのフィレンツェで、おそらくは1820年頃から制作が開始された、≪泉≫の擬人像としての裸婦作品である(※≪泉≫の擬人化の典拠として14世紀の彫刻家ジャン・グージョンによる『イノサン噴水の浮き彫り彫刻』などが挙げられている)。画面中央に配される泉の擬人像は正面を向きつつ首を右側に傾げ、下がった左肩に水が流れ出る水瓶を乗せながら全身をS字にしてバランスをとってる。この体の重心を片方(本作では左足)にのせ、もう片方(本作では右足)を遊脚にすることで全身をS字形に流曲させる姿態≪コントラポスト≫は、古代ギリシャの彫刻家が祖とされ、ルネサンス期の巨匠ミケランジェロも傑作『ダヴィデ像(ダビデ像)』で用いるなど、古典的かつ伝統的な姿態構図として芸術家の間では一般化しており、また本作はそれを用いた新古典主義時代の典型的な作品としても広く知られる。皺ひとつない大理石を思わせる滑らかな肌や皮膚、均整的で理想化を感じさせる調和的な裸婦の肉体、無駄がなく明快で理知的な構図と正面性、動きの少ない安定的な画面構成などの点からも本作は、芸術におけるひとつの完成形として後世の画家たちに多大な影響を与えた。なお本作は1820年頃から制作が開始されているものの、アングルが晩年期に入って間もない1856年に画家の弟子らによって完成させられた。


【全体図】
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首を傾げつつ正面を向く泉の擬人像。画家のみならず新古典主義における裸婦の傑作としても名高い本作は、アングルがローマ賞受賞後、20年近く滞在したイタリアのフィレンツェで、おそらくは1820年頃から制作が開始された、≪泉≫の擬人像としての裸婦作品である。



【首を傾げつつ正面を向く泉の擬人像】
均整的で滑らかな肌艶の肉体。本作は体の重心を片方(本作では左足)にのせ、もう片方(本作では右足)を遊脚にすることで全身をS字形に流曲させる姿態≪コントラポスト≫それを用いた新古典主義時代の典型的な作品としても広く知られる。



【均整的で滑らかな肌艶の肉体】
水が流れ出る瓶。皺ひとつない大理石を思わせる滑らかな肌や皮膚、均整的で理想化を感じさせる調和的な裸婦の肉体、無駄がなく明快で理知的な構図と正面性、動きの少ない安定的な画面構成などの点からも本作は、芸術におけるひとつの完成形として後世の画家たちに多大な影響を与えた。



【水が流れ出る瓶】

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