Description of a work (作品の解説)
2009/11/08掲載
Work figure (作品図)
■ 

ヴァルパンソンの浴女


(Baigneuse dite de Valpinçon) 1808年
146×97.5cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

新古典主義の大画家ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル初期を代表する裸婦作品のひとつ『ヴァルパンソンの浴女』。1808年のサロンへ出品され高い評価を受けたほか、1855年の万国博覧会へも出品されている本作は≪浴女≫を背面から捉えたアングルの典型的裸婦作品で、名称の≪ヴァルパンソン≫は本作を(当時)400フランで購入し所有していたヴァルパンソン氏に由来している。画面中央やや右側へ配される頭にターバン風頭巾を着けた浴女は、寝具に腰掛け一息をつくような自然体の様子で背後から描かれている。皺ひとつよらない理想化された肌の表現や、全体的に丸みを帯びた女性らしい肉感とふくらみの描写は、あたかも古代の彫刻を模したかのような完全とした形状的美しさに溢れており、観る者を強く惹き付ける。また正確なデッサンに基づいた非常に高度な写実性は本作の洗練性を視覚的に強調する効果も生み出しており、線描を重要視するアングルの様式的傾向が良く示されている。さらにこの背面から捉えられた裸婦像は、アングル晩年の代表作『トルコ風呂』などにも取り上げられるよう、画家の裸婦像に対する内面的理想形のひとつも同時に見出すことができる。なお1855年の万国博覧会への出品は、ヴァルパンソン氏と懇意であった当時21歳の若きエドガー・ドガ印象派を代表する画家のひとり)が仲介したことによって実現し、その際、アングルがドガと対面し助言を与えたという有名な逸話が残されている(※この時与えられた助言が切欠でドガはデッサンを重要視するようになった)。


【全体図】
拡大表示
俯くような浴女の姿。1808年のサロンへ出品され高い評価を受けたほか、1855年の万国博覧会へも出品されている本作は≪浴女≫を背面から捉えたアングルの典型的裸婦作品で、名称の≪ヴァルパンソン≫は本作を(当時)400フランで購入し所有していたヴァルパンソン氏に由来している。



【俯くような浴女の姿】
皺ひとつない滑らかな浴女の肌。皺ひとつよらない理想化された肌の表現や、全体的に丸みを帯びた女性らしい肉感とふくらみの描写は、あたかも古代の彫刻を模したかのような完全とした形状的美しさに溢れており、観る者を強く惹き付ける。



【皺ひとつない滑らかな浴女の肌】
脱力を感じさせる足先の描写。1855年の万国博覧会への出品は、ヴァルパンソン氏と懇意であった当時21歳の若きエドガー・ドガ印象派を代表する画家のひとり)が仲介したことによって実現し、その際、アングルがドガと対面し助言を与えたという有名な逸話が残されている。



【脱力を感じさせる足先の描写】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ