Description of a work (作品の解説)
2010/11/10掲載
Work figure (作品図)
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キリストの磔刑(十字架上のキリスト)


(Christ en Croix) 1822年
278×165.5cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

19世紀フランスで活躍した新古典主義とロマン主義の折衷的側面を有する画家ピエール=ポール・プリュードンの代表的な宗教画作品のひとつ『キリストの磔刑(十字架上のキリスト)』。元々フランス北東部ロレーヌ地域圏の都市メスの大聖堂(メッツ大聖堂)のためにプリュードンへ注文され制作が開始されたものの、公的な芸術の庇護を蘇らせたフランス復古王政後の当時、アカデミズムのヒエラルキー上、最も位の高い位置のひとつにあった宗教画の優良作としてルーヴル美術館が収蔵を申し立て、同美術館へ所蔵されることとなった経緯でも知られる本作は、自らユダヤの王と名乗り民を惑わしたという罪状で受難者イエスがユダヤの司祭らから告発を受け、罪を裁く権限を持つ総督ピラトが手を洗い、自身に関わりが無いことを示した為、笞打ちの刑を経てゴルゴダの丘で2人の盗人と共に磔刑に処された教義上最も重要視される場面のひとつ≪キリストの磔刑(十字架上のキリスト)≫を主題に描かれた作品である。本作が手がけられる前年にプリュードンの弟子であり愛人でもあったコンスタンス・メイエが自殺したため、当時は画家が己の悲しみを鎮める意図が込められていると推測されていた本作では、画面右側へ磔刑に処され死した受難者イエスが顔を背け身体を捩りながら十字架上へ描かれている。深い暗闇の中で強烈な光彩によって浮かび上がるこの受難者の姿には確かにプリュードンの芸術に対する実直な態度を見出すことができる。さらにイエスの足元には悲しみに暮れるマグダラのマリアが、その対角線上のやや離れた場所へは息子の死に倒れ込む聖母マリアらの姿が配されており、そのやや大げさな感情性は本主題の悲劇性を際立たせることに成功している。


【全体図】
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観る者に対し顔を背ける受難者イエス。本作は、自らユダヤの王と名乗り民を惑わしたという罪状で受難者イエスがユダヤの司祭らから告発を受け、笞打ちの刑を経てゴルゴダの丘で2人の盗人と共に磔刑に処された教義上最も重要視される場面のひとつ≪キリストの磔刑(十字架上のキリスト)≫を主題に描かれた作品である。



【顔を背ける受難者イエス】
倒れ込む聖母マリア。本作が手がけられる前年にプリュードンの弟子であり愛人でもあったコンスタンス・メイエが自殺したため、当時は画家が己の悲しみを鎮める意図が込められていると推測されていた本作の深い暗闇の中で強烈な光彩によって浮かび上がる受難者の姿には確かにプリュードンの芸術に対する実直な態度を見出すことができる。



【倒れ込む聖母マリア】
悲しみに暮れるマグダラのマリア。本作は元々フランス北東部ロレーヌ地域圏の都市メスの大聖堂のために制作が開始されたものの、公的な芸術の庇護を蘇らせたフランス復古王政後の当時、アカデミズムのヒエラルキー上、最も位の高い位置のひとつにあった宗教画の優良作としてルーヴル美術館が収蔵を申し立て、同美術館へ所蔵されることとなった経緯でも知られている。



【悲しみに暮れるマグダラのマリア】

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