2010/09/10掲載
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皇后ジョゼフィーヌ(L'Impératrice Joséphine) 1805-10年244×179cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)
虚ろで夢想的な皇后ジョゼフィーヌ。本作は、1796年に英雄ナポレオン・ボナパルトと結婚するものの、貴族出身ながらその奔放な恋愛遍歴と浪費癖でも有名であったフランス皇后≪ジョゼフィーヌ≫がマルメゾンの邸館庭の木陰で腰掛けながら休息する姿を描いた肖像画作品である。
【虚ろで夢想的な皇后ジョゼフィーヌ】
鮮烈な印象の赤い長肩掛け。画面前景に配される皇后ジョゼフィーヌは簡素ながら質と品の良さを感じさせる大きく胸元が開いた流行の衣服を身に着け、木陰で腰掛けているが、やや虚ろでメランコリック的な表情や夢想的な雰囲気には皇后の傷ついた心情をそのまま映したかのような画家独特の感傷性を明確に感じることができる。
【鮮烈な印象の赤い長肩掛け】
対象を明確に浮かび上がらせる陰影描写。背景の逆光による深い陰影が印象的なマルメゾンの庭の描写によって浮かび上がるジョゼフィーヌには、世評とは異なる皇后の繊細な性格的内面性と両者の結末の悲劇的側面を連想させる。
【対象を浮かび上がらせる陰影描写】 |