2010/05/16掲載
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アタラの葬儀(アタラの埋葬)1808年(Atala au tombeau, dit aussi Funérailles d'Atala) 207×267cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)
柔らかい光に浮かび上がるアタラ。画面中央へ配された洞窟の入り口から射し込む陽光によって白く輝くアタラの両手には十字架が握らされておりアタラの(精神的な)純潔性が強調されているが、同時に包まれた白布に発生する衣襞で強調された細くしなやかな肢体には官能的な魅力が備わっている。
【柔らかい光に浮かび上がるアタラ】
嘆き悲しむシャクタスの姿。本作の宗教的精神性や高貴(純真)なる未開民族への礼賛感情、近代的な主題選択、そして異国情緒に溢れる場面描写やキアロスクーロを用いた光彩表現などには、ジロデのロマン主義的性格が明確に示されている。
【嘆き悲しむシャクタスの姿】 アタラを埋葬する修道士オブリー。シャトーブリアンが1801年に出版した小説≪アタラ≫の一場面を主題に、1808年に制作された本作は、同年のサロンに出品され、≪アタラ≫の作者自身は元より、シャトーブリアンと双璧をなす文人シャルル・ボードレールからも賞賛されたことでも知られている。
【アタラを埋葬する修道士オブリー】 |