■
アンヌ=ルイ・ジロデ=トリオソン(トリオゾン)
Anne-Louis Girodet de Roussy-Trioson
1767-1824 | フランス | 新古典主義・ロマン主義
18世紀後半から19世紀初頭のフランスを代表する画家。基礎力の高さを感じさせる写実描写を用いながら神秘的で夢想性豊かな独自の様式による作品で人気を博す。文学的思想に強く傾倒し、それらに基づいた歴史画・神話画・宗教画などで高い評価を受けるものの、対象の心理的描写にも優れた画家が手がける肖像画でも質の高い作品を数多く残している。ジロデは画家として新古典主義様式を出発点としているものの、その作風は次第にロマン主義的様式へと変化しているため、折衷主義的な立ち位置としても見做されている。1767年、モンタルジに生を受けるものの幼少期に父を亡くし、軍医であったトリオゾン博士の養子となる。1785年、
ジャック=ルイ・ダヴィッドに弟子入りし、程なく
ダヴィッドの最も優れた弟子のひとりとして頭角を現す。1789年にローマ賞大賞を受賞、以後5年間をローマで過ごす。同地で絵画、文学など様々な芸術に触れ、特にイタリアを代表する詩人ダンテ・アリギエーリから多大な刺激を受けながら師
ダヴィッドとは異なる独自の様式を模索してゆく。1791年、ローマで『エンデュミオンの眠り』を制作、1793年にパリのサロンへ出品し大きな反響を得る。ジャコバン派による恐怖政治時代にはナポリへ逃れ同地で肖像画家として活躍。1795年に帰国後し、フランス第一帝政時代にはナポレオンに認められ、皇帝からも注文を受けるほど画家として確固たる地位を築いた。また1800年代にはフランスロマン主義を代表する小説家フランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアンから大きな影響と着想を得ている。1815年、学士院会員に推薦され、翌1816年にはレジオン・ドヌール勲章を叙勲される。1824年、パリで死去。