2006/04/26掲載
■
十字架降下(Deposizione) 1437-1440年頃176×185cm | テンペラ・板 | サン・マルコ美術館
十字架から降ろされる神の子イエス。元来フラ・アンジェリコの師であるロレンツォ・モナコへパッラ・ストロッツィから依頼されたフィレンツェのサンタ・トリニタ聖堂聖具室内ストロッツィ家礼拝堂のための祭壇画であったが本作の制作途中でロレンツォ・モナコが死去した為にフラ・アンジェリコへ依嘱された作品であり、ゴシック様式の三連ピナクル部分(祭壇画中上部に配される三つの飾り尖塔)はロレンツォ・モナコの手によるものである。
【十字架から降ろされる神の子イエス】
悲哀に暮れる聖母マリアとイエスの御足に口づけをおこなうマグダラのマリア。アリマタヤのヨセフやニコデモによって十字架から降下されるイエスの亡骸を中心に、左部分にはイエスの御足に口づけをおこなうマグダラのマリアや悲哀に暮れる聖母マリアを始めとした諸聖人と天上には天使たちを、右部分には聖ヨハネと受難具を手にする人々や天上に天使たちが配されており、そのどれにも画家の高い技量が示されている。
【悲哀の聖母マリアとマグダラのマリア】
トスカーナを思わせる牧歌的な風景。神の子イエスが自らユダヤの王と名乗ったことから極刑にあたる磔刑(死刑)に処されるという、イエス受難場面の中でも特に重要かつ最も感動に溢れる場面を、柔軟かつ情緒豊かでフラ・アンジェリコ独特の深い精神性を携えた聖性を感じさせる表現が用いられている。
【トスカーナを思わせる牧歌的な風景】 |