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東方三博士の礼拝 (Adorazione dei Magi) 1563-1564年頃
94×115cm | 油彩・画布 | ウィーン美術史美術館 |
ヤコポ・バッサーノの様式がよく示される代表的な宗教画作例のひとつ『東方三博士の礼拝』。ヴェネツィアのバルトロメオ・デラ・ナーヴェのコレクションから、大公レオポルト・ヴェルヘルムのコレクションを経て、現在はウィーン美術史美術館が所蔵している本作は、未来のユダヤの王たる神の子イエスの降誕を告げる新星を発見した東方の三人の王が、エルサレムでヘロデ王にその出生地を聞いた後、星に導かれベツレヘムの地で神の子イエスを礼拝する場面≪東方三博士の礼拝≫を主題に描かれた作品で、≪羊飼いの礼拝≫と共にヤコポ・バッサーノが生涯のうちに最も数多く手がけた主題のひとつである。青年の王で欧州を指すメルヒオール、長老格の王でアジアを指すカスパル、黒人の王でアフリカを指すバルタザールはそれぞれ神の子イエスへ捧げる黄金、乳香、没薬の三つの贈り物を手にし、未来のユダヤの王への礼拝をおこなう場面は、当時研究を続けていたマニエリスム的な複雑性を持った斜面構成を用いることによってヤコポ・バッサーノ独自の特徴的な運動的でありながら大衆的な場面を表現することに成功している。また詩情を感じさせる情景的な風景描写も本作の極めて大きな特徴のひとつであり、本作ではさまざまな実験的手法を用い作品を手がけたヤコポ・バッサーノの様式の変化を存分に感じることができる。
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