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聖ルキアの洗礼を施す聖ウァレンティヌス 1577年頃
(San Valentino battezza santa Lucilla) | 182×127cm |
油彩・画布 | バッサーノ・デル・グラッパ市立美術館 |
16世紀後半を代表するヴェネツィア派の画家ヤコポ・バッサーノ随一の傑作『聖ルキアの洗礼を施す聖ウァレンティヌス』。本作は3世紀ローマの聖人で、Vielliebchen(=よく愛される者)に名前の由来をもつ聖ウァレンティヌスが、キリスト教を代表する聖女ルキアに洗礼を施す場面を描いたもので、父なる神による強烈な金色の威光に照らされ落ちる柔らかい陰影や、壮大で深い神秘性を感じさせる劇的な表現は、長年、ヤコポ・バッサーノがヴェネツィア派やマニエリスム絵画の研究をおこない辿り着いた様式の大きな特徴であり、本作においてそれは、最も効果的かつ独自性を以って示されている。また17世紀イタリア最大の画家のひとりティエポロが、本作で用いられる豊かで大胆な色彩の表現に驚愕したとの逸話も残されている。
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