■ |
穀物の収穫 (The Corn Harvest) 1565年
118×160.7cm | 油彩・板 | メトロポリタン美術館 |
季節ごとの農民の生活を克明に描いた連作月暦画の1点『穀物の収穫』。ブリューゲルの友人でありアントウェルペンの裕福な金融商人ニコラース・ヨンゲリンクの邸宅の装飾画として制作された連作月暦画は2ヶ月毎の生活を描いた合計6点からなる作品群の1点だと推測されている本作は、おそらく麦などの穀物の収穫時期にあたる8月・9月を描いた作品であると考えられており、生きるために欠かせない労働と収穫の喜びを自然の中へ調和的に描き出すことで、ブリューゲルの本質的な思想が表現されている。また見事な細密描写による右部背景には教会(聖堂)の屋根が描かれており、自然界と人間との深い繋がりをより強く示すことに成功している。これらが示す幾つかの特徴が重なり合うことによって、本作にも連作月暦画シリーズに示されるブリューゲル独特の詩情的雰囲気が感じられるのである。
|