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干し草の収穫 (The Hay Making) 1565年
117×161cm | 油彩・板 | プラハ国立美術館 |
季節ごとの農民の生活を描いた連作月暦画の1点『干し草の収穫』。ブリューゲルの友人でありアントウェルペンの裕福な金融商人ニコラース・ヨンゲリンクの邸宅の装飾画として制作された本作を含む連作月暦画は2ヶ月毎の生活を描いた合計6点からなる作品群だと推測されている本作は、おそらく6月・7月を描いた作品であると考えられており、連作月暦画に示される季節によって変わりゆく風景の描写はブリューゲルが最も注力した部分であり本作でもそれが如何なく発揮されている。やや薄塗り的な描写によって表現される本作の遠景は、写実性を示しながらも独特の詩情的な雰囲気を醸しだしており、ある種の物語画的な印象すら与えている。また本作では≪干し草の収穫≫で示される前景に描かれた≪人間活動≫の描写も、この連作において共通する重要な要素であり、現在では当時の生活を描写した資料的価値も含まれている。
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